フェイクラヴァーズ
「警察は犯罪予防組織ではないんですよ坂上君。現段階では、怪我をさせられたわけでも金品を奪われたわけでもありませんから、まともにとりあってもらえないでしょう。まして、こういう事件で加害者が女性の場合は、どうしても被害者男性に不利なんですよ。極端な例をあげるなら、男性が女性に強姦された場合、勃起しなかった事を立証しなければそもそも事件として扱ってもらえません。大人の女性が未成年相手にということなら話はまた別ですが」
「は、はぁ……」
「そういうわけだ。坂上には少し危険な目に遭わせることになるかもしれないが、一緒にいる間は守ってやるから安心しろ。……お前達には何が起こっても対応できるように離れた所で見張っていてもらう」
日野の指示を受け、六人は渋々といった様子で頷いた。
「正直日野がどうなっても知ったことじゃないけど、坂上君に何かあったらたいへんだしねぇ」
「坂上君、私達がちゃんと助けてあげるからね!」
もしかしてとんでもないことを引き受けてしまったのではないかと後悔しながらも、坂上はただ頷くしかなかった。