二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

夜のサイクリング

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 


暫く無言のまま二人は歩き続けた。
自転車を押していることもあって、いつも利用している歩道橋は渡れないなぁ、とふと思いつく。
深夜でも交通量の多い国道を渡るには、欠かせないものではあったけれど仕方ない。
もう少し先にある螺旋状をした歩道橋なら、自転車も押していけるだろうと二人はそちらに向かってまた足を進めた。
車のライトで浮かび上がる深夜の歩道橋は、何処となく不気味に見えてしまう。
怖がりのニールがそんなことを思っていると、アレルヤが話しかけてきた。

「・・・ねぇ、そういえばこんな噂、聞いたことない?」
「・・・噂?」
「ほら、この辺り、歩道橋が多いでしょ?」
「・・・ん?あ、あぁ、そうだな・・・」
「それもあって、歩道橋に『○×△一番』、『○×△二番』・・・って番号が付いてるの、知ってた?」

それは初耳だ、とニールが答えると、僕も知らなかったんだけどね、とアレルヤは眉毛を下げて微笑んだ。

「それでね、一番、二番、三番まであって、次は五番、六番・・・って続くらしいんだけど・・・」

そこまで聞いたニールは、既に顔面蒼白だ。

「存在しない筈の四番、って書いてある歩道橋を見つけたら、その人は――」

はい、続きはもう結構です!と言わんばかりに両手で耳を塞いだ瞬間、二人同時に携帯にメールの着信音が鳴り響いた。
心臓が飛び出そうなほど驚いたニールだったけれど、その着信音がハレルヤの好きなアニメのオープニング曲の着メロである事に気付いて瞬時に顔が綻んだ。
アレルヤの携帯は、同じアニメのエンディング曲の着メロで、二人ともハレルヤから届くメールの着信音に設定している辺り、溺愛っぷりも同レベルだろう。

「ハレルヤ、先に寝てるって言ってたのに・・・」

と文句を言いながらも嬉しそうに携帯を開けた後のアレルヤの反応と、同じく嬉しそうに開けたものの見た瞬間凍りついたニールの反応には雲泥の差があった。
送られてきたメールの内容には、差異などないのだけれど・・・。

「流石ハレルヤ・・・、こんなに離れているのに察知するなんて、凄いと思わない?」

嬉々満面と弟を褒め称えるアレルヤには、ハレルヤが寄越してきたメールの文面の恐ろしさが気付かないのだろうか。
ニールは恐る恐る愛しいハレルヤから届いたメールの内容と、あと数分で利用していたであろう螺旋状の歩道橋に代わる代わる視線を送った。

ハレルヤのメールには、こう書いてあった。


『多分もうそろそろ国道の辺りに着くと思ってメールした。
ぐるぐる渦巻きになってる歩道橋は使うなよ。
そこは霊の通り道になってるからさ。
アレルヤが着いてっから、危ないことにはならないと思うけど・・・
念のためな(`∀W)』


イヤ、もう、このメールを見た時点で危ない目にあってるような気がするんですけど!!と声を張り上げたい気持ちをグッと抑えながら、ニールはアレルヤが押していた自転車のハンドルを奪い取るとサドルに腰掛けた。

「アレルヤ!後ろに乗れっ!!お前が後ろなら、文句ねぇだろう?!」

というより文句があるならこの自転車借りてくぜ!と言わんばかりの勢いでまくし立てると、それなら構わないよ、と空気を読まない暢気なアレルヤが返事を寄越した。

アレルヤが後ろの荷台に座り、がくんと後輪が下がったのを合図に、ニールはペダルを踏んで自転車を走らせた。
遠回りになっても構わない、恐怖の螺旋状の歩道橋に背を向けると、ニールは全速力で家路へと向かった。


作品名:夜のサイクリング 作家名:マメゾー