恋が素敵だなんて誰が言ったんだ
恋が素敵だなんて誰が言ったんだ。
俺の恋は違う。
もっと衝動的で暴力的で暗くて深い二度と戻ることのできない地獄に通じちまいそうな、そんな入り口だ。
それなのに、分かっているのに、どうして俺は恋に堕ちてしまったんだ。
叶わないことなど分かっているのに。
あの優しい笑顔が俺に向けられたら良いなんて、どうして。
俺は2人が人ごみに紛れその背中が見えなくなるまで、その場に立ち尽くしていた。
手の中で握りつぶした筈のタバコは、何故かいつまでも火が着いたように熱かった。
作品名:恋が素敵だなんて誰が言ったんだ 作家名:ハルユキ