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しばらくは女生活

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「相手とはどこまで接触しましたか?接触した相手に、何か異常等などは・・・」
「異常が見られると言うことはありませんでしたわ閣下。私もその点が気になり、姿が変わってすぐに女性や男性と接触いたしましたが・・・どちらでも異常は見られませんでした」
強い力によって変えられてしまった体。その体と触れる事などにより、相手にも力が感染して相手の体まで変わってしまうのではないかーーーそう危惧したが、心配は無用の様だった。
「それは良いことを聞きました。それからもう一つ」
「何か」
フロワードはやや躊躇って、
「元の体に戻りたいと、思ったりしないのか・・・?」
「思いませんわ。こうなってしまったのだから仕方有りません。簡単に戻る術があるのなら戻るのもやぶさかでは有りませんが・・・」
フロワードはその言葉を聞き、その部下から離れ再び王宮へ向かった。



夜更け。
あてがわれた部屋を出て、有る場所へ向かう。
皆寝静まり、起きているのは警備の者たちのみ。それらの者に気付かれないように移動するのはフロワードにとってたやすい。
向かう場所はシオンの寝室。最も警備の厳重なところだ。
足音を消してそっと歩く。
扉を開けて、主人の様子を伺う。
彼は珍しく机に突っ伏して眠っていた。仕事の途中でうたた寝してしまったのだろう。志仕事で夜を明かす習慣のついているシオン。滅多にない光景にフロワードは少しほっとした。
(私が二人居れば、もっと陛下のご負担を軽くして差し上げられるかもしれないというのにーーー)
フロワードは首を振って考えを打ち消した。自分一人で処理しきれないのなら、もっと有能な人材を捜して掘り出すのみ。勇者の遺物のもとへ連れていった二人の部下のように有能な人材を。
フロワードはそっとシオンの服を脱がし始めると、シオンが目を覚ます。
「おや、お目覚めですか。陛下」
「むにゃ・・・なあああああ!!??」
眠たそうな顔を驚きに変えて、シオンは絶叫した。
「その様に大きな声を出されますと、他の者が起きてしまうのではないですか?」
「あ、悪い・・・って、い、いや、おま、何して!!」
「失礼ながら勝手に脱衣させて頂きます。大人しく世継ぎをお作り下さいませ」
「えええええ!!!???」
シオンはフロワードを突き飛ばすと彼女(?)から離れて衣服を整えた。
「つ、ついに血迷ったか!?正気になるンダフロワード!いつか必ず男に戻れる日が来るから!」
「・・・なにもそこまで嫌がらなくても。まぁ、いいでしょう。やる事は同じですから。観念して下さい、陛下」
フロワードの目は本気だった。本気でシオンと寝ようとしている。
シオンは寒気がした。
「ご安心下さい。安全性は確証されています。部下が立証いたしました」
シオンが何か言う前に、フロワードが落ち着いた様子で言う。シオンは少女から女へ変わったフロワードの部下の報告から判断する。
「そういう問題じゃないだろ・・・!」
しかしシオンは少し怒りさえ滲ませて否定する。何が気に食わないのか分からず、フロワードは小首を傾げた。
「何をそんなに意地になってらっしゃるのですか。貞操など別に大事なものでもないでしょう」
フロワードは大したことがないようにそんな事を言った。その言葉から彼の遍歴が見えて、シオンは悲しくなった。
「・・・さぁ、陛下。観念して頂きますよ」
音もなく二人の距離を詰めて、フロワードは感情のない笑顔で言った。扉はフロワードが塞いでいて、シオンに逃げ場は無い。
「おおお落ち着こうフロワード。俺は男と寝る趣味はない・・・!」
「私もございません。しかし、仕事だと思えば苦ではありませんが。それに今の私は男ではないのですよ」
フロワードはにっこり笑った。
「美人でしょう?年下が好みならしょうがないでしょうけど、この際好みは無視して下さい」
とても美人ですけどおおおお!!
黒髪美女にベッド押し倒されて、シオンは完璧にパニックになった。いつの間にかベッドまで追い込まれてるし、それをシオンに気付かせないフロワードは才能の使い方を間違えている。
「さぁ陛下・・・経験がないというのなら、私が指導して差し上げますから・・・」
「ひいいいい!!!」
服を脱がす手つきに鳥肌が立った。頭が警鐘を鳴らす。まずい。このままでは本当に・・・
シオンは強い力でフロワードを押し返す。俯いて黙ってしまった上司に、フロワードは眉を下げた。
「・・・陛下・・・」
なんだか傷ついてます的な部下の声に、シオンは思わず顔を上げそうになるが我慢する。
少しの間、フロワードは言葉を発さなかった。それどころか身動きもとらず不気味な程静かだった。
やがて、ぽつりと、耳をすまして居なければ聞こえない位小さな声で彼女がこぼした。
「陛下・・・実の所、陛下なら構わないと思っているのですよ」
その台詞にシオンは大きく目を開く。思わずフロワードを見上げて様子を伺う。
フロワードは小さく笑っていた。いつもの感情の死んだ様な笑みと何かが違う。窓から入る月明かりにぴったりな笑みだった。
シオンは知らず胸を押さえる。
シオンの様子が変わった事を察知したフロワードは、シオンの上に乗りかかった。豊かな乳房がシオンの胸板に当たる当たる・・・
「フロワード・・・」
「・・・シオン様・・・」
二人は互いに顔を近づけてーーー
「おーいシオン、起きてるか?あのy・・・・・・」
二人は扉をノックもせず開けた人物を見た。
クラウは二人に目を向けて・・・
「はぁぁぁぁぁぁ!!!???」
「ち、違う誤解だクラウ!」
「げ、元帥閣下・・・!これは・・・」
クラウは答えず無表情で二人を上から下まで眺めてーーー部屋を抜け出した。
「ホ、ホモだあああああ!!!」
「待てええええええ!!!」
シオンは絶叫して走り去ったクラウに呼びかけるが、クラウは「ホモホモホモップル」と連呼して城内を走り回っている。
「止めろフロワード・・・っていねぇえええええ!!!」
後ろを向いて部下に助けを求めようとするもフロワードの姿はない。どこへ行ったのかシオン程度の能力では分かるはずもなく、シオンは頭を抱えた。


ーーーそれからしばらく、王宮にホモの幽霊がでるという噂が広がった。
その幽霊は黒髪の美人と銀髪の青年だったとかーーー
そして、ミラン・フロワードが男性に無事戻れるかどうかーーー
神のみぞ知るーーー

〈完〉
作品名:しばらくは女生活 作家名:ハクヨウ