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未だ答えの出ない問いを投げ掛けられてしまい、刹那は否とも応とも返事をする事無く黙り込んだ。
「やっぱりそうか。」
沈黙を肯定と判断したロックオンは皮肉っぽく笑った。
アレルヤの言う、自分に絡まれていた際の“刹那の泣きそうな顔”は見間違えでは無かった様だ。
そしてどうやら自分は知らず知らずの内に嫌われてしまっていたらしい。
「悪かったな・・・これからは余り付きまとわない様にするから」
ミッションの時は、頼むぜ。
至って冷静な口調で、マイスター内のリーダー的存在の役目を果たすべく公私の混同はしない様に釘をさすと、
そのまま自室へと戻っていってしまった。

 一方の刹那は、遠ざかる気配を背に受け、ただ静かに止め処なく溢れ出る感情を押し流す為に涙を零していた。


    *  *  *  *  *  *  *



「注意力散漫よ!」
困ったような顔をしたスメラギは下したミッション後に報告をしに来た刹那に注意を促していた。
最近の刹那は心此処にあらずといった様で、任務自体はクリアしているのだが如何せん効率が悪い。それまでの彼の動きと比べれば幾分か。
ソレスタルビーイングは今は甚大な被害を受けることさえはしていないが、近い未来エクシアつまりは刹那の不調という弱点をいつ突かれ崩壊に至るという事もあるかもしれないのだ。
「すまない。」
大人しく戦術予報士からのお小言を受けている刹那だったが。
「う・・・。」
前屈みに口を押さえた状態でスメラギから顔を背ける。
「ちょっと!刹那?吐きそうなの?」
驚かない訳が無く焦った、目の前の少年が自分と話している時に急に吐きそうになられては無理もない、そして少しほんの少しショックかもしれない。
「歩ける?」
掠れ気味の声で平気だと言い張る刹那だが顔色も土気色で相当調子が悪いのが分かる。
自分が背負ってモレノの所まで連れて行こうと考えるが、T字の廊下を横切っていくアレルヤの姿を目に留めると彼を呼び止めた。


「刹那が倒れたって本当か!?」
刹那より遅れて着艦したロックオンだが、刹那の事について聞くと報告書の提出もそこそこにトレミー内を走る事となった。
医療ブロックに行ってみたが空振り。もう私室へ戻したという。
モレノに聞く分にも大した事がないというのは分かるが、それでもどうしようもなく心配なのだ。
「ええ、大丈夫よ。睡眠不足と、宇宙酔いだそうよ。」
距離を置いていたせいで入って良いものかと刹那の私室に入るのを躊躇い、扉の外でウロウロしていたロックオンだが、出てきたスメラギに尋ねる。
「そうか。」
頬を緩めるとほっと胸を撫で下ろした。
「ええ、でもアレルヤは憂鬱そうだわ。」
抱き上げられた刹那は間に合わず抱き上げて運んだアレルヤの胸に吐いてしまったらしい。
クスリと笑いながら、その顛末を話した。
「それは災難だな。」
どんまい、アレルヤ。心内でそう言うと久し振りに彼も笑った。
久し振りというのは、刹那の気持ちを知り関わられたくないのだろうと距離を置くようにしていたせいで彼の様子に目が届かないでいた。
するとどうした事か、その時間が経つ程落ち着かなく、距離が増せば増す程苛立ちロックオンも任務に師匠は無い程度にだが
冷静さを欠いていたのだ。
「今は、眠っているから付いていてあげて頂戴?」
ロックオンに意味有り気にウインクを飛ばすと、交替とばかりに彼を置いて立ち去っていった。

「入るぞ。」
返事は無いが、入室する。
ウィンと扉の閉まる音がやけに大きく聞こえたような気がする。
不必要なものなど一つも無い刹那の部屋には、ベットの傍に先程までスメラギが座っていたであろう椅子が置いてあり、
ロックオンも其処に腰を降ろす。
 布団の中の佳人は深く眠っているらしく、人の気配にも気付かずに眠っている刹那の顔色はまだ悪い。
額に張り付いている癖のある彼の髪を払ってやりながらそっと、刹那に触れる。
「刹那。」
ほっとする。
こうして触れていると今までの苛立ちも疲れも浄化されるようで不思議だ。
「刹那。」
頬に触れたり、髪に触れたり。寝苦しくないように釦をはずしてやったりとまるで母親のする様な事だがロックオンはその行為の所以が別にあることをやっと気付いたのだ。
一旦気付いてしまえば複雑に絡んだ紐はするすると解けていく。「刹那。」
俺はお前を。


今、地球でのミッションの遂行時期に控えて刹那は自室にいる。
優しい光の差し込む静かな部屋の中刹那は一人。
スースーと気持ちよさそうに胸が上下している。
―ピピピ
その穏やかな空気の中、端末にメッセージが届いた事を知らせる電子音が。
「ん・・・。」
メッセージに目を通した後も特に動く気配は無い、任務とは関係の無いものらしい。
そして刹那は少し考えた後、その主にメッセージを送り返す。
刹那の送りだしたメッセージには。
─ああ、食べに行く。何処に行くんだ?
の本文。


受信フォルダの一番上、先程のメッセージであるロックオンからのメールには
─ 一緒に飯食べに行かないか?
とお決まりの食事の誘い文句。
そして末尾には愛しているの文字。





作品名:ラヴ受信しました 作家名:社瑠依