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これがぼくの愛情論

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アイラブヒューマンだからね、と臨也が普段のひとを小馬鹿にするのではない笑顔で、にっこり笑うので静雄は、はあ?っと思わず口にした。せっかく気合いをいれた拳の力もしゅるりと抜ける。怒る元気も怒鳴る元気も暴れる元気も根こそぎこのばかの笑顔にとられてしまった。最近この馬鹿に使う体力がもはやもったいないなあと静雄は思い始めている。だけどやっぱりむかつくのでばったり出会えば思わず自販機を探してしまうのはもう癖になっているのだった。ただここには自販機もゴミ箱もガードレールもありとあらゆるぶん投げられるものが無いので静雄は心の中でちいさく舌打ちをする。まあいざとなれば、先に使おうとした拳があるのでいいだろう。

しかし今がそのいざという時であることに、静雄はあんまり気付いていなかった。静雄の思考はまあまあ一般的なそれであるので、現在、人気のまったくない路地裏、二人きり、夜というシチュエーションから、臨也のぶっとんだ感情を読み取ることはできなかったのである。臨也のぶっとんだ感情とは、静雄に対する欲情である。ぶっちゃけやりたい。臨也は、静雄のきれいな喉仏とか、うっすら浮いてる血管だとかに、もうむらむらしていた。むらむら。

だがしかし一般的男の子の静雄はまさか自分みたいなでかいごつい男が、同性にむらむらされているなんて思っていなかったし、ていうかもう、そんな思いつきもしないのだった。

なので臨也があいもかわらずのうまい口で、自分をこんなところまで連れ込み、胸倉をつかまれたときは、よしきた喧嘩だと思ったのだけど、次に臨也が出した言葉といえば、アイラブヒューマンであったので、はあ?っと思ったわけである。

「だからなんだよ」
「だからこういうことなんだよ」

と臨也のことばが耳に届き切る前に、静雄はじぶんのくちにあたる感触がなんなのか即座に理解できなかった。やわらかい。そんでもってあったかい。それがなにか理解する前にとりあえず静雄はいざというときのための拳をしっかり使っておいた。手ごたえはばっちりである。

「おま、おまええええ!!!!」
「え?なにごめん初チューだった?」
「ふざけんな死ねいますぐコンクリート飲んで死ね!!!」
「やだなあシズちゃん、そんな喜ばないでよ〜」
「てめえの目は腐っているのか!!!」
作品名:これがぼくの愛情論 作家名:萩子