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かつてと今とこれからと

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夕食を終え、正臣は冷たく冷やした麦茶を飲みながら携帯画面を眺め、沙樹が小さなシンクで食器を洗っている時の事だった。

「ねえ正臣、出来たのって言ったらどうする?」
「は?何が……ぶはぁっ」
「やだちょっと何してるのよ…自分で拭いてよね」

沙樹の突然の告白に、何か思い当たる事でもあるのか酷く動揺する正臣。
交通の便がさほど悪くない立地ながら比較的安い家賃で二人で住まうアパート…つまりそこそこ年季の入った内装の、畳に麦茶の染みが広がった。
沙樹の発言と今起きた事態を必死で飲み込もうとする正臣の表情は、青くなったり赤くなったりと忙しい。今この瞬間は目の前に広がる事態を最優先に取るべきと感じたのか、いささか顔色は青ざめ慌てた表情に変わった。やっべえ!と叫びながら正臣は近くの棚の上に置いてあったティッシュ箱をわし摑んだ。

「沙樹の所為だろ!?人が飲んでる時にンな事言うから!」
「ひと段落したし、今ならいいかなぁって思ったんだけど…迷惑だった?」

二人分の食器をすべて洗い終え拭き上げて棚に並べる沙樹の手が止まり、正臣の方へくるりと向き直った。沙樹が正臣を見つめる表情は、笑顔というよりは陰を含んでいるようにも見えた。その表情に気付いた正臣は、ティッシュで畳の茶染みを消す手を止めた。

「…いや…ていうかその、だってまだ……俺の今の収入じゃ頼りないっていうか…」

少し前まで高校生だった正臣、今の収入源は臨也の元でアルバイトをして稼いだ分しかない。確かに年齢的に考えて普通よりは多い金額を貰っている事には違いないが、それでも今はまだ正臣と沙樹の二人で生活を送るのがやっとだった。

「そうだよね。ごめんね、困らせちゃった…明日にでも臨也さんに相談して病院に行…」
「駄目だ!」

そう大きな声で叫んだかと思うと、次の瞬間には正臣は沙樹の手首を握り締めていた。部屋が狭い上に元々歩いて数歩の距離しか離れていなかった二人だったが、それすら最初から無かったかのように一気に距離が縮まる。

「…それは、臨也さんに知られるのが駄目って事?」
「違う!」
「じゃあ臨也さんにお金を借りておろす事が?」
「…あってるけど、違う」
「それじゃ分かんないよ」

正臣の沙樹の手首を握り締める力は確かに強かった。だが沙樹を見つめる正臣の顔には、瞳には揺らぐものがあった。それは光を含むと薄ら輝くが、逆に正臣自身には陰を作り出してしまうようだった。

「かんたんに、おろすとか…言うなよ」
「でも、正臣は迷惑でしょう?」
「迷惑なもんか!でも…っ」