釣忍
「・・・まあ、楽しんでこいって。懐に入ってしまえば、着かず離れずの優しさがある土地だからさ。居心地は悪くないはずだぜ?」
「そんなことは知ってるよ。あそこのマーケット全部を敵に回して、この商売は続けられないんだよ。昔も今も、ちゃんと僕を認めてくれて、良い事をしたんだって褒めてくれる人だっているんだからね。」
「そりゃそうだ。」
からり、と龍麻は笑った。
人は何処でも何時でも多種多様である。
その中の自分、その中の他人。
付き合い方はそれぞれで、着かず離れず。
人の間に生きることは、ヒトである以上は当たり前なのだ。
その生き方に楽しみを。喜びを。生み出すことの意味を教えてくれた友人に無言で感謝をした。