二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ひなたぼっこ

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 







椅子をきしませて立ち上がり、窓に向かう。
ざあ、とカーテンを開けて、太陽の光を取り込んだ。
「っ、」
徹夜明けには少々刺激の強いそれに、雲雀は顔をしかめた。
「…まぶしい」
思わずつぶやいて、目頭をつまんで軽くもみほぐし、酷使した目をいたわってやる。
筆が乗るのに任せていたら、うっかり二日連続での徹夜になってしまったのだが、自分の設定した〆切より早く原稿が上がる目処が立ったから良しとする。
時計を見やれば午前8時過ぎ、朝食にはちょうど良い頃合いで、腹を空かせたあの子もそろそろ起きてくるはずだ。
一つ伸びをすれば、関節がぱきぽきと音を立てた。






「にゃあ」
カーテンの開く音に気づいて原稿部屋に入ってきた猫が、とてとてと雲雀の傍にやってきて、ぐうっと一緒に伸びをする。
「起きたの、綱吉」
(はい)
茶トラの毛並みに4本の白い足、金色がかった琥珀色の瞳に、オレンジ色の首輪を填めた、名前は立派な男の子だけれど、小柄で可愛い女の子。
「なぁう」
(おはようございます、きょうやさん)
「おはよう」
一声鳴いて挨拶してきた愛猫に、雲雀も挨拶を返す。
「みあ、にゃあう?」
(げんこう、おわったんですか?)
「ひと区切り付いたところ。思ったより進んだから、今日は休み」
「んにゃあ」
(そうですか、おつかれさまです)
「うん」
小さな頭をいっぱいに傾けて見上げてくる綱吉に、雲雀は体をかがめて手をさしのべる。
「おいで」
(はぁい)
近寄ってきた体を抱き上げて背中を撫でてやれば、綱吉はすぐにくるくると喉を鳴らし始めた。
「構ってやれなくて悪かったね。退屈だっただろう」
雲雀が尋ねると、猫はぷるりと小さく首を横に振る。
(ボールであそんでたから、へいきです)
「…ああ、あれ」
ボール遊びと言えばその通りだが、彼女の場合はちょっと内容が違う。
他の猫のようにちょいちょい突付いてボールを転がして遊ぶのではなく、ボールの上に綱吉が乗って、そのまま一緒にころんと一回転。それを繰り返すのだ。
綱吉曰く「どっちにころがるかわからないからたのしいです」とのことだが、雲雀には『ボールで遊んでいる』のではなく『ボールに遊ばれている』ようにしか見えない。
まあ、当人は楽しんでいるようだし、見ている分には可愛いので止めはしないが、勢い余ってどこかにひどく頭をぶつけたりしないようにと注意だけはしてある。
「ご飯を食べたら遊ぼうか。何がしたい?」
「にゃあ!」
(ひなたぼっこ!)
「綱吉、それ遊びじゃないよ」
即答に思わず苦笑すると、くるくる喉を鳴らしながら綱吉は雲雀に返す。
(だってほら、くものあいだからおひさまがきらきらしてて、おてんきいいんだもん。だからソファのおへやで、きょうやさんにだっこしてもらって、ひなたぼっこしたいです)
雲雀の左の肩口に頭をすりつけて、綱吉はおねだりをする。
ちなみに彼女の言う『ソファのおへや』とはリビングのことである。
「みあう…」
(きょうやさん、だめですか?)
「それで良いなら、僕は構わないけど」
(ありがとうございます!)
ぴん、と両耳を跳ねさせた綱吉が、顔を上げて雲雀の唇の端にちょん、と鼻先をくっつけた。






作品名:ひなたぼっこ 作家名:新澤やひろ