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【土沖】真選組が出来たころのくたびれ土方と沖田でくっつきかけ話

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「沖田の保護者」と呼ばれるべき人間は沖田の周りに多くいる。ミツバや近藤を始めとして、土方もそのひとりだ。土方が彼等の生活の傍らで暮らすようになったのはずいぶん前のことで、沖田の人生における日々のうち、三分の二近くを隣で見てきた。

沖田はその頃からずうっと、始末に終えない子供だった。
元は姉と近藤と三人だったところへ土方が入ってきたものだから、当初、こちらに向けられた感情はものすごく、ずいぶんと手を焼いたものだ。土方ひとりにだけ噛み付くし、分かりやすい我侭を言う。道場に人が増えてからも、変わらず土方にばかりきゃんきゃんと吠え立てる。もう少し成長したら今度は、武器を使って命まで狙い始める有り様だ。


かつて、お前の性悪は本物だなと、まだ小さかったその子供に苦々しく言ったことがある。
すると傍にいた近藤が「だが、総悟がここまで構って欲しがる人間トシだけだな。なあ、総悟」と言った。何を能天気なと思っているとすかさず憎たらしい口が開いて、「俺がここまで苦しめてやりたいと思ってる人間、土方さんだけですぜ。光栄に思え」と言った。

当然そこからは、竹刀を持ったままの追い合いになった。それからもう随分と時が流れているのに、沖田はいつまでも、土方だけに向ける「他と異なる様々な感情」というものを捨てない。