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ぎとぎとチキン
ぎとぎとチキン
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全裸祭り

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朝、目が覚めると、何故か全裸でした。
え、なにこれ意味わかんない。


本日は学生的に言えば(そして一部の職種以外の人には)休日である土曜日。
昨晩はチャットとネサフで夜更かししていた為、10時過ぎまで目が覚めなかった。
目覚ましに起こされない朝って素晴らしい!
時間的には朝だか昼だか微妙な所だったが、まあ午前中ではあるし、朝という事にしていただきたい。
そんな素晴らしいはずの朝に、何故自分は全裸で寝ていたのか。
昨夜の記憶を掘り返してみるも、風呂上がりにTシャツとハーフパンツを履いたのは確かだった。
そもそも帝人は裸族ではなく、むしろ学校で着替える時だって隠す派だ。
そして特に飲酒だってしていない。(というか法律違反だ)
帝人は取り敢えずかけていたタオルケットを体に巻いて、起き上がる。
小さな箪笥まで裾を引きずって行き、まあそういう事もあるかもしれないよね、寝相?ていうか夢遊病?ていうか、ね!なんて思いつつ、箪笥を開いた。
ぱしぱしと目を瞬いて、引き出しの中を見つめ、一度閉め、一段下を開ける。
そしてまた閉める。
三段目、一番下を開いて、それからまたそれを閉め、一段目からまた同じ事を繰り返してみても、帝人の目に映った光景は変わらなかった。
つまりは、全部、空。空っぽ。なんにもない。下着はおろか靴下さえ。
何故だ。
帝人は諦めきれず、もう一度引き出しを引いては閉じる動作を繰り返した。
しかし結果は変わらない。
そういえば、吊るしておいた制服も見当たらず、ただハンガーだけがかかっている状態だった。
こんな状況で何だが、月曜日からどうしようという心配が駆け抜けた。
実際はそれ所ではない。
制服どころか、何も衣類が見当たらないのだから。
困った、というより動揺した帝人は、充電器から携帯を取るとポチポチ(実際にはカカカカッという速度である。画面効果的には火花が散っている事だろう)とメールを作成&送信。
ちなみに相手は困った時頼りになる(というより無意識に頼ってしまう)幼馴染の親友正臣である。
ちなみに内容は

件名:すぐ来て
本文:歓迎出来ない意味不明のひにちじょうなんてきらいだ

であった。
後半漢字変換を忘れるくらい動揺している。
冷静に考えれば「何か洋服持ってきて」とメールすればいいのだが、何分帝人も動揺していた。
帝人は非日常を愛していたが、こんな形の非日常を望んでいた訳ではない。
というか望んでいたら春に出る人達と同じだ。
正臣からの返信はすぐ来て、帝人を心配しているのか件名に「すぐ行く」と書かれているだけで、本文は無かった。
正臣を待っている間、帝人は少しでも冷静になる為、ダラーズのサイトにアクセスして掲示板を眺める。
しかし特に変わった事(例えば朝目が覚めると突然衣類が消える現象やら病気やら)は書かれておらず、がっかりと肩を落とした。
仕方ないのでタオルケットを引きずりながら、洗面所の小さな棚に入っているタオルを取り出し腰に巻くと、キッチンで朝食兼昼食でも作るか、と冷蔵庫を開けると。
中には卵が一個と牛乳が少し、あとはペットボトルのお茶くらいしか無かった。
そういえば今日は休みなので、買出しに行こうと思っていたのだ。
このまま全裸で居れば当然外には出れないし、そうなると飢え死にするかもしれない。
うっかり飢えの余り、全裸で外に買出しに出掛けてしまうかもしれない。
そうなったら警察に厄介になる事になるだろうし、そうなると実家に連絡が行き、強制送還(実家に)と、とんとん拍子に進んでいく事だろう。
それはとても歓迎出来ない。
実家に引き戻されるのも、警察に捕まるのも、飢えるのも嫌だったが、全裸で外に出る事がまず嫌だ。
帝人は己の肉体に自信が無かった。
身長にしたって体つきにしたってこれから成長すると信じているけれども、まあアレだ。
肉体の一部分的な部位に、特に自信が無いのだ。
うん、きっとそれも成長する。するに決まってる。お願いします成長してください。
トイレの度にこそこそしたり(それは恥ずかしいという理由もあるが)、チラリと横目に見た同級生の一部分的な部位に落ち込んだりするのはもうごめんだ。
ずり落ちそうになっていたタオルをぎゅっと強く結びなおすと、取り敢えず目玉焼きと牛乳を朝食にする為、キッチンに立つのだった。


ピンポーン。
丁度目玉焼きが焼けて、フライパンごと鍋敷きの上に置き、牛乳パックを手に取った所でチャイムが鳴った。
早かったな、と思いながら牛乳パックを持ったまま扉を開けると、そこには予想通り僅かに汗を滴らせた正臣が居……、て…、…、
て、えーーーーーーーっ?!!!!
驚愕の余りボトリと床に落ちそうになった牛乳パックは、間一髪の所で正臣が受け止めてくれた。
流石だ、正臣運動神経良いよね。(僕と違って!)(て、そうじゃなくて、)
はくはくと唇を開閉する帝人に、正臣は安堵の溜息を吐いて、息は切れていなかったが走って駆けつけてきたゆえの汗を拭った。
そうして心配顔をいつもの笑顔に変えて、問いかける。

「いきなりあんなメール貰ったら心配するだろ、帝人ぉ?そんなに早く俺に会いたかったのかぁ?んん、いくら俺がスマートかつクールだからって、惚れちゃ駄目だぞっ!」

そんな正臣の言葉にも、帝人は言葉を返さず、ただ正臣を上から下までぽかんと開いた口で見つめるだけ。
いつもなら冷静かつ素早いツッコミが来るはずなのに、と正臣も首を傾げる。
もしかして具合でも悪いのだろうか、とまた心配顔になって帝人の名前を呼ぶと、帝人はハッとしたように正臣の手を引っ張って部屋の中に招きいれ、眉を吊り上げた。

「ま、ま、正臣なにしてなにやってなに、な、もう、ちょっ!どういう事!ていうかずるい!」
「み、帝人ぉ?」

そう、扉を開けて見えた正臣は。
全裸だった。
何故だ。
ちなみに、ずるいという言葉は帝人の全くの主観である。(そう、とある一部分的な部位に対しての嫉妬である)
帝人がぐるぐると思考を回していると、正臣は困惑したような顔で帝人を見て、ふと気付いた部分について指摘してきた。

「ところで帝人、そのタオル、新しいファッションか?ハーパンの上にタオルって意味なくね?いや、まあ帝人が良いならいいんだけどよ、いやでもファッショナブルな俺から言わせれば、無い。無いぞ、帝人ぉ?」
「………は?」
「いやだからな?タオルを腰に巻くのは風呂上りくらいじゃね?ていうか暑いだろ、逆に。」

帝人はパチパチを目を瞬いて、またぽかんと口を開ける。
え、なにいってるのこのひと。
タオル巻いてるのはつまり全裸だからであって、ハーフパンツなんて履いてないっていうかまあ寝る前には履いてたけど消えてたっていうか、え、あれ?なんでハーフパンツ履いてたとか知ってるのエスパー?いやまあ泊まりに来たりする事あるし寝る時の格好とか分かってるかもしれないけど、え、ていうか何で今履いてる感じになってるの?
帝人は混乱した。
今までだって混乱していたが、なお混乱した。
え、本当意味わかんない。

「……つかぬ事をお伺いしますが。」
「ん?なんで敬語?」
「僕の今の格好って、どう見えてるんでしょうか。そしてあなたの格好は何なんでしょうか。」
作品名:全裸祭り 作家名:ぎとぎとチキン