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嵐の放課後に

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#Last


 本人の断り通り、日野の話は冗長なまでに長かった。話そうと思えば要点だけを簡潔に話す事だって出来ただろうに、そうしなかったのはやはり時間稼ぎだろうか。
 作り話かと疑うような怪奇体験、日野の坂上に向ける生々しい感情の吐露。
 一体どこからつっこめばいい?いっそ何も聞かなかったことにして逃げてしまおうか。
 だが俺自身の純粋な興味が、それを許さなかった。
 
 ──なるほど、好奇心は猫を殺す。たまに、人間も。
 
「お前、ホモだったのか」
「違う。坂上だけだ。迫られたってお前には勃たない」
「……例えでもそういうこと言うなよ……」
 
 男が好きなんじゃなく、好きになったのがたまたま男だった。日野はそう言いたいのかもしれない。けど、俺からすればどっちにしたって同じことだ。
 しかし相手が坂上ならば……まぁ、わからなくはない、ような気がしないでも、ない。
 
 それにしても坂上には同情を禁じ得ない。色々と怖い目に遭った上に先輩にキスされるとは……あいつもつくづく運が無いよな。
 
 
「そろそろ部室に戻るか」
 これ以上の長居は無用だと、俺達は腰を上げた。
 窓の外の景色は夜の気配に呑まれつつある。だが文化祭準備に励む俺達にとって、放課後はまだまだ長い。
 講堂の方から聞こえる演劇部の声、擦れ違う生徒が抱える暗幕。
 俺は、祭の前のこんな空気が好きだ。
 
「気持ち悪くないのか」
「俺に被害がなければいいよ」
 
 話を蒸し返す日野に苦笑を返し戻ってきた部室では、御厨をはじめとする部員達が忙しく作業していた。
 
「あ」
 俺達に気付いた坂上が作業を止め、こちらに向かって駆けてくる。
 そして日野の目の前に立つと、申し訳なさそうに口を開いた。
 
「あの、背中は大丈夫ですか?」
「──え?」
 
 不意を打たれた日野は、キョトンとした表情で坂上を見下ろす。俺だって呆気に取られたくらいだから、当人の驚きは相当なものだったろう。
 
「……昨日は、すみませんでした。僕、びっくりしてしまって……あれは、冗談だったんですよね?」
 
 どっかで聞いたことがあるようなセリフに、日野は怒ったような顔をする。
 
「……冗談?何言ってんだ、坂上。俺は冗談であんなことはしない」
 
 待て。この流れは、アレだろう。
 御厨や倉田が、怪訝そうにこちらを見ている。
 ……もっと人目を憚れよな、このバカップル(未満)。
 
 
 とりあえず、告白タイムはふたりっきりでやってもらった。
 
 
【09.12.01 - Colpevoleより再録】
作品名:嵐の放課後に 作家名:_ 消