生徒会室で恋は始まる 1
胸板をゆっくりと撫でる。すべすべしていて、まるで同じ男とは思えないくらいの手触りのいい、綺麗な肌だった。
その気持ちよさに撫で続けていると、小さくまだ柔らかい突起に指先が当たった触れた。
瞬間ユーリがぴくりと小さく反応した。
慌ててフレンは手を引っ込めたが、ユーリが反応したのはそれだけで、起きる気配はない。
暫く様子を伺っていたフレンだが、ユーリが寝息をたてているのを確認するとふうと安堵の息を吐く。
またシャツの間からそろそろと手を差し入れ、今度は指先の腹で押しつぶすように弄る。
柔らかかったそれが、徐々にぷくりと形を変えて指先を僅かに刺激しはじめる。
もしかして、ユーリが感じてくれているのだろうか?
見てみたい。
ごくりと生唾を飲み込む。
僕の手で感じてくれたユーリを見てみたい。どう感じてくれたのかをこの目で…。
その欲望に突き動かされるように、フレンはシャツを捲ろうと、シャツに手をかけた。
その時。
キーンコーンカーンコーンと授業終了を告げる鐘の音が響き渡った。
そこでフレンははっと我に返る。
目の前に広がるのは、無防備に眠るユーリの乱れた姿。
僕は一体何をしていた?
何をしようとしていた?
しかもここは保健室。いつ誰が来るかもわからない。
そんな場所で僕は寝ているユーリに何をしていた?
それを考えた瞬間、カッと頬が熱くなって慌ててユーリから飛びのいた。
「ごめ…、ユーリ、ごめん…っ」
フレンは自分が犯してしまった事にわなわなと震えると、ばたばたと足音を立て走り去った。
足音が遠くなり、聞こえなくなると、ユーリはそろりと瞼を押し上げた。
そして上体を起こすと、一番上のボタン以外をはめ直す。
全く飽きれたものだ。今日こそは何かあるかと思ったのだが。
…まあ触れてきたというだけ少しは進展があったのかもしれない。
それにしてもフレンは変なところで鈍いというかなんというか。
「へたれ」
そう呟いてユーリは溜息を吐いた。
作品名:生徒会室で恋は始まる 1 作家名:みみや