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生徒会室で恋は始まる 2

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「お、青年はっけーん」

その声にユーリは視線だけ動かした。よれっとした白衣を着た物理学教諭の男を見て、ユーリはもうほぼ飲みつくした苺牛乳をズズッとすする。
一人になりたくて屋上まできたというのに、レイヴンが来ては意味がない。
ユーリはあからさまな溜息を吐いた。

「ちょっとちょっと! 何その溜息!」
「・・・おっさん」
「確かにおっさんだけど、おっさん一応先生だから! 先生って呼んでもらわないと他の先生方に示しがつかないって何時も言ってんでしょーよ!」
「へー、へー」

その適当な返事にレイヴンは溜息を吐くと、ユーリとの間に一人分のスペースを空けて隣に座る。
ぼーっと空を見上げながら、ユーリはまたズズッと何も入っていないであろう苺牛乳をすすった。
風がそよそよと吹いてユーリの髪を揺らす。気持ちのいい天気であるのに、ユーリの顔は何処か曇っていた。
手に持っている昼飯用の甘パンは封を開けられてはいるものの、殆ど手付かずの状態だ。

「・・・何かあった?」

そんなレイヴンの問いかけに、ユーリはちらりと視線を動かした。だがすぐに視線は戻される。

「・・・別に」

そうは言ってはいるが、明らかに何かあったとしか思えない雰囲気だ。ユーリがこういう態度を表に出すのも珍しい。
何かあるとするのならば、たとえば・・・

「生徒会長?」

その言葉にユーリはピクリと大げさに反応を示してレイヴンを見た。その反応でそれが正解なのだと確信する。
思えば、数日前から様子がおかしかったような気がする。
幼馴染だからなのか、異様に二人は仲がよかった。少し妬けてしまうくらい。
それが少し前から、なんだかよそよそしくなった様に感じていた。
ユーリにそれ程変化は見られなかったような気がするのだが、生徒会長・・・そう、フレンのほうだ。彼のほうが何故だかユーリと距離をとっていたような気がする。

「ユーリくん、何か生徒会長にしたの?」
「・・・何にもしてねぇよ・・・オレは・・・」

茶化すように言ってみれば、そうぶっきらぼうに答えるだけだ。しかし何か引っかかる。
ユーリが何もしていないのであれば、では逆は…?
そう思って口を開いた。

「じゃあ・・・フレンちゃんがユーリくんに何かしたの?」
「・・・っ!」

ギロリと睨み付けられる。
その反応で、ああやっぱりと確信する。
作品名:生徒会室で恋は始まる 2 作家名:みみや