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生徒会室で恋は始まる 3

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生徒会室で恋は始まる 3


バタバタと足音を立てて廊下を走る音に、廊下に出て談笑していた生徒達は皆一様にその音の発生源ともなる人物に目をやり、驚いていた。
走っているのはこの学園の生徒会長。容姿端麗で成績優秀。生徒達からの信頼も厚く、人気もある。
そして何より彼は真面目な人間で、校則破り等している所は見たことがないし、ましてや廊下を走るだなんて事もあるはずがない。そう思っていた。
だが通り抜けていった彼は全力疾走と言っても過言ではないくらいのスピードで走り抜けていってしまった。
それに少し遅れて、これまた学園の有名人でもあり、生徒会長の幼馴染が走り抜けていく。それに生徒達はぽかんと彼らが走り抜けていった先を見つめた。


「おい、フレン! 待てよ!!」

ユーリの呼ぶ声が聞こえる。けれど立ち止まるわけにはいかない。
いったいどんな顔をしてユーリと向き合えばいいのかわからない。
頭の中は先程見たレイヴンとユーリの事でいっぱいだ。
そして、最近胸にもやもやとつっかえていた事も、ここ数日ユーリを避けていた理由にも気付いてしまった。保健室での一件だけではない、その理由に。
どうしよう。
どうしたらいい。
わからない。
頭が混乱している。
ただ一つわかる事は、この気持ちをユーリに知られてはならない。ただそれだけだ。
知られてしまえば、きっとユーリは僕を避けるだろう。もう元の関係ではいられなくなる。それがたまらなく恐い。
だから、今はユーリの顔を見たくない。見れない。せめて気持ちの整理がつくまで。何時も通りに笑えるまで。
お願いだから放っておいてほしかった。
それなのにユーリは逃げても逃げても追ってくる。
階段を足早に駆け下りると、少し遅れて追ってくるユーリの足音が聞こえる。

「フレン、待てって! ・・・うぉあ!?」

ユーリの声が聞こえたと思ったら、瞬間ズダダダダと物凄い音が聞こえて振り返った。

「ユーリ!?」

階段の下でユーリが尻餅をついて腰を摩っていた。それにフレンは自分が逃げていた事も忘れて慌てて駆け寄る。

「ユーリ、怪我は!?」
「・・・ん、あぁ・・・平気・・・。それより・・・」

行き成りがしりと腕を掴まれる。それにフレンははっとなった。

「ユーリ、もしかして君、わざと・・・」
「こうでもしないと、お前は止まんねぇだろ」
作品名:生徒会室で恋は始まる 3 作家名:みみや