生徒会室で恋は始まる 3
ユーリは立ち上がると、フレンの腕を掴んでいないほうの手で制服を軽く掃う。
こうなってしまっては、もう逃げられはしないだろう。
フレンは諦めの溜息を吐いた。
「行くぞ」
そう一言だけ告げられて、腕を引っ張られるままに歩き出す。
二人して無言で、ただユーリの進むままにフレンは足を動かした。
ふいにユーリが足を止めた。俯いていたフレンはユーリにぶつかりそうになる寸前でそれに気付き、足を止めて顔を上げた。
「生徒会室・・・?」
「ここなら誰も居ないだろ?」
がらりと扉を開けると、ユーリは立ち止まっていたフレンの背中を押して中へと進ませる。
そしてそれに続いて自身もはいって扉を閉め、カチャリと鍵をかけた。
その音にフレンは振り返った。
「何で鍵なんて・・・」
「お前が逃げるといけねぇからな」
スタスタと歩いてユーリは机の上に腰掛ける。フレンはユーリの真意がつかめなくて、その行動を黙って見つめた。
普段ならば机の上に座るなと注意する所だが、今のフレンにその余裕はない。
二人して互いに見つめあっていると、ユーリが痺れを切らしたようにふぅっと溜息を吐いて口を開いた。
「・・・・・・フレン、お前何かオレに言うことあるんじゃねえか?」
「・・・え?」
ユーリの問いに、フレンはビクリと肩を揺らす。
「な、何の事だ・・・?」
笑ってごまかそうとしたが失敗した。ぎゅっと握った拳が汗をかいていて気持ちが悪い。
ユーリは何を言っている?
何を知っている?
ユーリの視線に居心地が悪くてフレンは視線を逸らして俯いた。
そんなフレンにまたユーリは溜息を吐くと、机の上から降りてフレンに近付いた。ユーリの掌がフレンの頬に当たって、フレンはびくりと肩を揺らして恐る恐るユーリを見る。
「お前さ・・・オレのこと好きだろ?」
「・・・っ!」
その言葉に驚き、目を見開く。疑問符がついているものの、その言葉は確信を持って発せられているようだった。
「ユーリ・・・何、言って・・・」
声が震える。身体もカタカタと小刻みに震えだす。
「・・・お前、分かりやすすぎなんだよ」
明らかに怯えているフレンにユーリは苦笑した。何に怯えているか容易に想像できる。
「言ってみな」
ユーリのその言葉にフレンは小さく「え・・・」と声を漏らす。
「オレの事が好きだって、言ってみな」
作品名:生徒会室で恋は始まる 3 作家名:みみや