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生徒会室で恋は始まる 番外

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生徒会室で恋は始まる 番外編



乱れた衣服を整え、辺りに充満した空気を変えようと窓を開ける。昼休み終了のチャイムはいつの間にか鳴っていて、既に授業は始まっているようだった。
体育の授業を受けている生徒達の姿と喧騒が小さく聞こえる。それにサボってしまったと少々の罪悪感を覚えてはいるが、後悔などまるでなく、信じられないほどの充足感で心は満たされていた。
先ほど自覚した恋心だというのに、それが実ってしまった。そのスピードにはまだ少しついていけず、これは夢なのではと錯覚するほどだ。
けれど、触れたユーリの暖かさはしっかりと覚えていて、それが現実なのだと伝えてくる。くすりとフレンは笑みを浮かべた。
しかしフレンは思い出したように小さく声をあげると、くるりと振り返った。

「ねえ、ユーリ」
「・・・ん?」

気だるそうなユーリがこちらを見て小首を傾げた。まだ余韻の残っているユーリの色香は色々毒なのだけれど、それより気になる事がある。

「そういえば、さ・・・。何時から知ってたの・・・?」
「何が?」
「いや・・・その・・・」

言い辛くて、フレンはもごもごと口篭る。聞く内容が内容だけに少し恥ずかしい。
そんな態度をとっていると、ユーリがじろりと睨んでくる。彼は本来気の長いほうではない。

「ユーリは、その・・・何時から僕が君の事、好きだって知ってたのかなって・・・」

覚悟を決めてそう口に出した。
フレンとしてはさっき自覚したばかりだと言うのに、ユーリは”ずっと前から知っていた”ような口振りだった気がしたのだ。
それを聞くとユーリは「ああそのことか」と口にする。

「何時だっけな・・・多分中学くらいじゃねーかな?」
「えっ!? ち、中学!?」

そのユーリの発言にフレンは心底驚いた。自分でも気付かなかった感情を、ユーリはそんなに前から知っていたというのか。
「まあ、確信したのは高校入ってからだけどな」とユーリは笑いながら言うが、動揺しているフレンは適当な相槌しか打てなかった。
そんなフレンを見て、ユーリはにやりと笑う。

「お前、昔からオレを見てる時の視線がやらしーんだよ」
「・・・へ?」
「視線で犯されてる気分だったぜ?」
「えっ・・・え・・・?」

ユーリの口から出てくる言葉達は、フレンが予想していた事を飛び越えていて、軽く混乱してしまう。