殺意との距離を測ろう
「それから君の屍を越えて、アンプルは俺が回収させて貰うんだぁ」
「どうするんですか?」
「アイツにぶつけて“残念でしたー!”って叫んでくるんだよ、決まってるよね」
「……はぁ」
「帝人君は俺のものなんだよ!」そう高笑いもつけてやる、と臨也は思う。なにせここまで臨也を追い詰めたのはあの人外のものが臨也を煽るような内容のメールを送ってきていた所為でもあるのだから。アンプルを受け取った帝人。そして逆説。
「アイツ」がアンプルを贈ったということは、帝人を気に入っているのも間違いはないのだ。臨也の中で苛立ちが急激に育った。それが嫉妬ということは誰よりも臨也が知っている。
臨也は今すぐ帝人を「自分が何度でも手酷く殺してやりたい」と思った。自分だけが殺すのだ。そして、帝人は何度でも瞳を開く。
つまり、ここで臨也が言う「殺す」とは物理的に言う情交のことだ。
「じゃあ帝人君」
「はい」
「俺に殺されて?」
「……嫌ですってば」
帝人は掠れた声だったが、それでも笑えた。
作品名:殺意との距離を測ろう 作家名:tnk