あたたかいからだ、じんわり
「好みなら男でも女でもな両刀で好色。かつ、質の悪いことに性的魅力に溢れた23歳」
「…あー、間違ってはない、かも…
珈琲のカップを手渡し、次のカップに緑茶を注ぐ。
「それで」
「ん?」
「なぜ、アーサーさんには手を出されないんですか?好みなんでしょう?」
「んー…好みだけどさー、別にこのままの関係で満足しちゃってるというか」
「おや、貴方にしては随分消極的なんですね。でもいいんですか?最近、アーサーさん仲の良い人が出来たんでしょう?
……取られちゃいますよ?」
「それは、ないない。だって、餌付け完了しちゃって坊ちゃんは俺がいないと生きていけないし?
…それになんだかんだ言って、あいつが最終的に頼ってくるのは俺だからね」
「…ご馳走様です」
「ん、あとは俺の分の珈琲だけだから先に持っていって貰える?」
「分かりました」
そうなのだ。アーサーとフランシスが周りからどれほど親密に見られていようとも、二人は本当に唯の友人なのである。アーサーは一切フランシスに恋愛的な意味で興味を持っていないし、フランシスも特別に恋人にしたいわけではなかった。二人の関係は友人以上ではあっても恋人ではないのである。
作品名:あたたかいからだ、じんわり 作家名:花水木