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かわいいひと

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俺ははぁ、と溜息吐いてこっちこい、と言って真ん中まで来させる。
向き合う形で見合った俺らは、少しの間何も話さなかった。

「……すみませ、ん」

沈黙を破ったのは本田だった。
そう言って俯いたて、小さい声で話す。
それは俺にとって衝撃的な内容だった。

「私はずっと貴方が好きでした」
「は?」

ずっと?
まさかの言葉にビックリしていたら、本田は真剣な顔で頷いた。
もう一度、ずっと貴方が好きです、と言い換えて。

「実はギルさんのことは前から知っていました。ルートヴィッヒさんのお兄さんと知ったのが初ですが……一目惚れ、でした。凄く貴方に惹かれてしまったんです。だから文化祭のときに勇気を出して話しかけました。最初からギルさんは女装した私に惚れたと言ってくれたのはわかっていました、それでもいいと思っていたんです、けれど本当の私と接するギルさんはなんだか手探りな感じで対応してくれるので、やはりギルさんは私ではなく女装している私が好きなんだ、とわかったのです。おかしいでしょう? 女装の私も私なのに私は私に嫉妬したんです、そんな私が醜くて仕方がありませんでした」

はらはらと泣く本田を見たくなくて、俺は思わず本田の腕を掴んで引き寄せる。
わ。と本田の声が聞こえると同時に抱きしめた。

「悪かった」

そう言って。
そうしたら本田は声を上げて泣き出した。絶望を体で現して。あぁ、こいつは勘違いしている。

「本田、悪かった。俺の気持ちを聞いて欲しい」
「……ギルさん」

抱きしめるのを止めて本田の顔を見れば、涙にぬれている。目の端は赤くて少し前にも泣いていたってことは明らかだった。

「俺は確かに本田の女装姿に惚れた。可愛いと思った。頭から離れなくてこれが好きだってことなんだってわかった。けどな、今のお前も好きなんだ」
「……え」

本田が顔を上げる。またじわりと涙が出るのを俺は口を寄せて拭ってから、安心させるように笑ってやった。

「俺は男の、本当のお前も好きだ」
「ギル、さ……ん!」
「悪かった、本当に悪かった。俺が一歩踏み出せねぇから」
「いい、いいん、です……!!」

本田は慌てて涙を拭って笑う。

「貴方が私を、本当の私を好きだといってくれた、それだけでもうどうでもいいんです」

あぁ、やっぱりお前は笑ってるのが一番いい。そう思って俺は本田の唇に自分のを合わせる。
そうしたら顔を真っ赤にして一歩離れる本田。あぁ、もう本当可愛いなお前!
そう思って俺も笑い返した。

「本田、愛してるぞ!」
「と、飛びすぎです! 心臓が持たないので止めてください!!」





END
作品名:かわいいひと 作家名:秋海