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peso@ついった廃人
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ほしぞら

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・・・コツコツ・・・ガタガタッ

頻りに閉じられた鍵のかかった窓を揺らしている。
窓の向こうの人影が部屋の中の様子を伺っていた。夜の静寂の中、その音だけがとても鮮明で響いて聞こえた。

冗談じゃない!!こんなところで死んでたまるか!!!!

夏野はベットに腰をかけ、手に持ったスパナを強く握りしめた。
来るなら来てみろと窓ににじり寄る。

コン コン コン コン

・・・ ・・・ ・・・の

何処か遠慮がちに叩かれるその影の向こうから小さくでもしっかりと聞き取れる声が聞こえた。

聞いちゃダメだ
開けちゃダメだ

そんな訳がない
そんな筈がない

    夏野

いや・・・でも、・・・ダメだと警告する。

夏野
今では保っちゃんくらいしかそんな風な呼び方をする奴はいない。
かつて、そう呼ぶ奴は一人だけいた。
懐かしい声
ココロの何処かで考えていた、祈っていたのだろうか
また、会えたら・・・もう一度だけでも・・・会いたい、と。
交わした言葉の一つ一つその笑顔の全てが今も脳裏に焼き付いている。



・・・・・・・
・・・・・・・


開けてはいけない

格子を勢いよく開ける。
目の前には樅の林の闇の中が広がっている。ゆっくりと窓の下に目をやると丸まった大きな背中。

「誰だよ」
「おれだ」

夏野は眉間に皺を寄せた。
開けてはいけない
それは警告。その声は罠
頭は冷静なのに身体はそれに反して窓の鍵に手を伸ばしていた。

「・・・・・・おい」

窓の縁に手をついた瞬間強い力で手首を捕まれる。
持って行かれるっっ
「くっ・・・」
空いたもう一方の手で窓の縁を掴み抵抗をするとその影の主は丁度正面に来る形になり、夏野はその主の顔を見て唇を噛んだ。

「徹ちゃん・・・」

顔を見られた影の主は両手で顔を隠し林の闇に逃げていく。
その背中はいつも見ていた、あの懐かしい背中

「徹ちゃん!!!」


追っていた。
それが、終わりへの行為だとわかっていても・・・




作品名:ほしぞら 作家名:peso@ついった廃人