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「ねぇ先生、チョコレートも持って行った方がいいかな。ローストビーフの
　サンドイッチならみんな好きだよね？」
無知で、だからこそ優しい愛すべき少年に、ああと頷くプロイセンの口の端は
いつもと全く同じに、ほんのちょっと歪めて持ち上げられていて、微笑にも嘲
笑にも見えた。
「ああ……そうだな、お前の母さんが許してくれたらな」
ドイツは目を伏せ、黒い煙の帯を引く晴天の空を無き物にした。
きっと、許されはしないのだろう。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜マリアの慈悲＞