二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

lullaby.

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 



それは、深夜の出来事。

いつものようにマスターがパソコンの電源を落とし、
真っ暗な時間が訪れた。
何となくそのまま目をつぶる気になれなくて、
膝を抱えて鼻歌を歌っていた。
歌詞はあまり覚えていない。言葉はまだ難しい。
でもメロディはすぐに覚えられた。
口ずさみながら暗闇の向こうをじいと見た。

ちか、ちか、と。光が見える。

赤、ではない、深くて濃い、ピンク色のような。
ちかりちかりと光っている。
一瞬、ウィルスかと思ったが感覚的に違う。
すぐに排除できるように態勢を整えながらも、
俺はその光から目を逸らさずに立ち上がる。
光が、どんどん大きくなる。
そしてそれが自分と同じくらいの高さになる。
一瞬、目を閉じてしまうほど輝いた。

「・・・あれ、電源が落ちているのか」

次にまぶたを開いた時にはもう、現れていた。
真白なコート、濃いピンク色のヘッドフォン。
切れ長の目に少年の面影を残した横顔は。
いつもモニターの向こうで見ていたそれだ。

「誰だ」
「ん?あぁ、噂のウィルスプログラムさんかな?」

やっとこちらを見た侵入者はにっこりと笑う。
その笑顔もマスターとそっくりで、思わず身を引いた。
するとあちらも笑っていた顔がいきなり崩れる。
眉間に皺をよせて、俺の顔をじいと見る。

「・・・きみ、名前は?」
「つ、つがる」
「・・・そう。俺はサイケ。よろしくね、つがる」

笑顔とともに差し出される手。
いつもはモニターの向こうで見ているだけだった。
その笑顔も、手も、指も。
何だか怖くて迷っていると、伸ばしかけた手を勝手に掴まれる。
驚いて振りほどこうとしたが、しっかりと握られてしまう。
そして無邪気に笑うサイケと目が合う。
まるで悪戯をした子どもみたいなその笑顔は、
マスターは持っていないものだった。

こうして俺とサイケは出会った。
作品名:lullaby. 作家名:しつ