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シオンとライナでSFしてみた(腐向け・原作バレ要素込)

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 誰にも理解されなかった内なる叫びをライナも抱えている。
 自分ではない誰かが内側で煩いんだ、と面倒臭そうに彼は言った。その朱い五芒星がうっすらと浮かぶ黒い瞳に沈む羨望。
 肉眼で見れるはずもない《聖星》を見たくて、誰もいない展望台に行ったはずなのにそこにはライナがいた。
 かえりたい、とライナがぽつりと零した言葉。その時は互いの名前すら知らなかった。ただ互いに内側から込み上げる何かが苦しいのだ、とだけ。

「かえりたいなぁ」

 出会いを思い出し、シオンは小さく笑う。
 コロニーの人々を《聖星》に帰したい。それはシオンの本心だ。だからクーデターを起こしてまで自分がこのコロニー=ローランドの首長になった。
 当初ローランドがあった座標から比べれば、このコロニーは大分《聖星》に近付いた。肉眼で確認できずとも、千里眼でその存在を微かに感じ取れるくらいには。
 ただその蒼い恋しさに近付くにつれ、自分の本心が分からなくなる。

(かえりたい)
(帰りたい)
(還りたい)

(孵りたい)

 あの蒼い地に足を付ければ、自分の内側にいるものがこの身体を食い破ってきそうな気がする。
 同じように内側に声を抱えるライナにも話したことのない不安。
 これを抱えているのが自分だけだったらライナに話したところで彼に余計な心配を掛けるだけだし、もし同じものを抱えていたとしても互いに傷の舐め合いはごめんだった。

「…………」
「ん? どうかしたか、ライナ」

 回想と内側の声に耳を傾けていて、じっとこちらを見つめていたライナの視線に気付かなかった。
 ライナの唇が何か言おうとして悸く。しかし空気は震えない。ふいと視線は逸らされた。
 意図が読めないライナの行動にシオンは首を傾げるしかなかった。



 郷愁、顧みず。
 蒼焦、眷みず。



100725



聖星に行っちゃうとシオンの勇者人格が目覚めちゃうんだよー
ライナは本能的にそれ分かってるよー

な設定があったりなかったり。