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バスカッシュ!ログまとめ(ファルアイファル中心)

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猥談(オールキャラ気味?)



「ぬあーっ」

 トレーラーハウス内でぐるりと皆がテーブルを囲む中、ガンツが叫びとも気の抜けた声とも言える妙な声を上げた。

「どうしたのー、ガンツ」

 ぽい、とチョコレートを口に放り込みながらベルが尋ねた。
 背凭れの方へと倒れ込んだガンツが頭を起こして答える。

「つまらん、華が足りないだろ華が!」
「花なんか高くて買えないよー」
「そっちの花じゃねー!」

 うがーっと一際大きな声でガンツが叫ぶ。隣に座っていたベルも、さすがにこれには顔を顰めた。

「いいかお前ら!」

 起き上がり、ガンツは力強くテーブルを叩く。
 バスケットボールにワックスをかけていたダンも、本に集中していたアイスマンも顔を上げた。

「野郎ばっかでむさ苦しいとは思わないのか!?」

 そう言われて、各々室内を見渡す。
 ソーイチはこの上で月見酒、アランはいつの間にかトレーラ内からいなくなっていた。
 女性陣はみな揃って近くにある温泉に行っている。つまり男性陣で留守番という訳なのだ。

「そんなこと言ったって……ねー?」

 ベルが向かいに座るアイスマンとダンに同意を求める。
 二人にしても、同意を求められどう反応していいのか分からない。
 アイスマンは曖昧に笑うだけに留めた。
 ダンにはどうでもいい話題だったようで、すぐにボール磨きに専念する。
 結局ガンツの主張に反応らしい反応を返したのはベルだけだった。
 しかし反応が返ってこないことにもガンツはさほどめげなかった。肩を落としたのは一瞬で、すぐに拳を高々と振り上げる。

「野郎しかいないならやることは一つだろ!」

 ダンに続き、アイスマンまで己の世界に没頭してしまった。遮光眼鏡の奥の瞳は既に活字を追い始めている。
 これは自分が相手するしかないらしい。ベルは溜息を堪えた自分を少しばかり褒めたくなった。

「何するって言うのさ」

 よくぞ聞いてくれました、と言わんばかりにガンツが鼻息を荒くした。
 得意げともいえるその表情では、どうせロクな事を言い出さない。
 長年の付き合いからベルにはそれが分かっていた。だからこそこの場にいながら我関せずの他二名が羨ましくて仕方ない。

「決まってんだろぉ、猥談だよ」

 今度こそベルは耐え切れずに重い重い溜息を吐いた。


 ガンツのみが意気込んで始めた猥談だったが、当然一人だけでは盛り上がるはずもなく。
 呆れながらも合いの手と少々の返事でベルが付き合うのみ。
 ボールが磨き終わるには十分な時間だ。それにも関わらずダンは磨く布を手放そうとはしない。
 アイスマンはアイスマンで本に没頭しているし、読み終える気配は全くない。
 合いの手を入れる傍ら、ベルが横目でダンの様子を見れば、無関心を装いながらも聞き耳を立てている気配がある。
 それならそうと早く布を放り出してこの妄想特急の相手を半分負担して欲しい。
 ベルは溜息を吐こうとする自分の口にチョコレートをまた一つ放り込んだ。

 始まった当初は荒かった鼻息も満足したのか大分収まっていた。
 ガンツの興奮は覚めやらぬが、それでもハイテンションマシンガントークを脱しただけでかなりベルは気が楽になった。

「そういえばよ」

 テーブルに置いてあった温くなったであろう飲み物に手を伸ばし、ガンツが続ける。

「はるか姐さんの胸って小さい重力下で育ったからあそこまでバインバインなんだろ?」

 こくり、と温い液体がガンツの喉を潤す。

「そうなったら月面生まれ月面育ちの野郎のムスコも、やっぱり大層ご立派になるのかねぇ。重力にめげずに常にビンビン!ってかー?」

 同じく飲み物を飲もうとしていたダンが激しく噎せた。
 それまで何とか合いの手を入れていたベルも、これには何も返せない。そろそろ自分の語彙も限界なのだと誰に対してでもなく言い訳した。
 するとそれまで顔を上げなかったアイスマンが本から目を離した。

「そうでもないですよ」

 発言元はアイスマン。
 人好きする笑みを浮かべたまま、彼は明日の天気を話すような気軽さで続きを述べる。

「重力が小さいところに長い間いたせいで筋力は衰えているし、アースダッシュで育った人より血液の量が少ない上に、その血液が上半身に集中しているからなかなか勃ってくれませんし――ああ、血液だけではなく体液の量も少ないですから出す精液の量も多いとは言えませんし――手間が掛かる割には、月育ちの方を相手にしてもそれほど悦ばしい結果はついてきませんよ」

 ニコニコと終始笑んだままでアイスマンは言った。
 僅かに視線を右上に向け、彼は小さく自身を納得させるように頷いた。
 突然の発言にダンも無関心を装うことは出来ず、ぽかんと口を開けたまま。ベルもガンツも似たようなものだった。

「はるかさんの胸も、重力が小さいから抵抗が小さい、ということではなく単に胸部に血液が集中しているだけだと思うんですけど」
「は、はぁ……ソウデスカ」

 話を振った側の責任として、辛うじてガンツがそれだけを返す。
 静まり返る場に、きょとんとした顔でアイスマンが首を傾げた。

「あの、皆さんどうかしたんですか?」

 色々と尋ねたいことはあったが誰も言葉には出来なかった。


090916(090824)