二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

銀魂3Zログまとめ(ぱっつち)

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 

エンドレスリピート、プリーズ



 あと、何度言えばいいのだろう。
 あと、何度伝えればいいのだろう。
 どれだけ言葉にしたところで、物足りなくて仕方ない。
 それなのに、ねえ。
 俺は、あと何度君に愛を囁けるのだろう。




「校歌、斉唱」

 マイクの声はノイズが混じって聞いていられない。
 ポン、と音楽教師が鍵盤を叩き始めた。
 体育教師だったり、元気を個性とする教師は生徒たち以上に声を張り上げて歌っている。

 肝心要の生徒は、っつーと口パク。酷いヤツだと口パクすらしちゃいない。

 俺が学生の頃はなー、と口パクすらしてないヤツに心の中で説教しとこうか――回想してはたと気付く。
 自分の学生時代を振り返ってみれば、そもそもこんな始業式とか開校式にろくに参加したことがなかった。
 冬休み気分が抜けずに毎度寝坊、遅刻していたような気がする。
 そう考えると、こんなかったるい式に参加しているだけヤツらは偉い。口パクがなんだ、参加することの方がン倍も偉いよ。

 間奏に入ったらしく、声は何も聞こえない。

 そういえば、とふと思った。
 愛しいあの子は、あと何回この校歌を歌うのだろう。

 冬休みが明けて、今は三年生で。自分は担任で。
 一般で受験すると言っていたが、彼なら落ちることはまずない。
 そうなると、歌うのは――卒業式だけだろうか。
 その卒業式の予行で何度か歌うことがあるかもしれない。
 あるかもしれないが、こんなしっかりした形で歌うのはあと一回きりだ。

(逆に俺は、あと何年かはこの校舎で誰かが歌うのを何度も見る訳で)

 何度見るのだとしても、彼がこの場で歌う校歌はあと一度しかない。
 三学期始業式の校歌で泣きそうになるなんて、我ながらどうかしている。
 今が卒業式で、俺が卒業生ともなれば分からなくもない話だ。
 だが実際は三学期の始業式で、俺は教師。泣く理由なんかあるはずもない。
 心なしか霞む視界で、担当するクラスの列を見た。
 愛しいあの子は、どんな思いで歌っているのだろう。
 思わず目を閉じたくなる。こんな寂しい思い。
 軽やかに終わったピアノの伴奏と違い、気持ちは酷く重い。

 あと、何回。
 迎えたくもない春はすぐそこまで来ていた。



090925(080110)