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【文三木/甘】巡る季節と私たち

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いきなり行動で示せと言われて、行動できるほど器用な方ではない三木ヱ門。それを解っているのか、文次郎はじっと待っている。
行動で示す。言葉で表すのは簡単だが、いざ行動と言われたらどうすれば良いものか。自分の憧れの先輩に見せたい自分とは何か…。今の私はダメだ。涙を流した後で目は少しばかり腫れているし、口角は下がっている。顔色は何だか悪いような気がする。こんな姿はちっとも魅力的ではないではないか!ならばやらなければいけない行動は一つしかない。本質に気付いたであろう三木ヱ門に満足したのか、文次郎の目元は満足気に細められている。
その次の瞬間、三木ヱ門は後ろへ飛び退き、木の傍らにあった木砲のサチコを手に取った。サチコを抱え、文次郎に向き直り…。

「私は貴方を超えます!潮江先輩に負けない忍になってみせます!」

そう言い放ち、自信有り気に満面の笑みを浮かべる。その決意をみた文次郎は、口角をにやりと上げ、腕を組みながら嬉しそうに返す。

「ほう。言うな、田村。」
「先輩は私の憧れであり、目標ですから!」

先程とはまるで違う三木ヱ門の表情に安心し、軽く息をつく。

「やはり、その顔が一番良い」

そう一言呟くと、言葉を続ける。


「今の言葉、決して忘れてくれるなよ。」
「はい!潮江せんぱ…いえ、潮江文次郎先輩!」
「ん?」
「こんな私を気にかけて頂き、ありがとうございます!」

これでもか、というほど頭を下げる三木ヱ門に苦笑しながら文次郎は小さく呟く。

「馬鹿たれ、三木ヱ門だからに決まっているだろう。」

文次郎の言葉が少し聞こえたのか、三木ヱ門は顔を上げて首を傾げる。

「今、何かおっしゃいましたか?
「ふっ…いや、これは次の機会に取っておこう」
「???」

頭に疑問符を浮かべながらもかろうじてはい、と答える三木ヱ門。そんな三木ヱ門が愛おしくなり、頭を撫でる。

「次にこの季節が廻った時にまたここで会おう。それまで精進しておけ」

ニッと笑った文次郎は今までのどの表情よりも凛々しく、自信に満ちていた。そんな文次郎の表情に答えるかのように、満面の笑みを浮かべて三木ヱ門は頷く。

「ハイ!!!」

二人の間を駆け抜ける風は、先刻よりも少し熱を帯びていた。