君を天国に連れてってあげるよ
河川敷で待っていれば鬼道が通る。
芝生にゆっくりと寝転がり、佐久間は鬼道の事を思って想って思い出して思い出して、おもいだして、おもいだして・・・
思い出せなくて・・・涙が出そうだった。
濡れた髪が佐久間の頬を冷たく冷やして、暮れゆく太陽と川面から吹く風か佐久間の体温を奪った。
このまま佐久間は死んでしまいたいと思った。
帰り道の鬼道が骸となった自分を見つけて狂ったように叫んでくれるのか、またはさめざめと涙を流すのか興味がわいた。
鬼道に好きと伝えても何も変わらない。
答えは知っていたが、流れる川に放り投げて忘れた振りをした。
同時に恋心も流してしまえばよかったのに。
そろそろ鬼道が通る時間。
会ったら何と言おう。
佐久間はもう考える事もできない癖に、顔も声も思い出せない鬼道の存在を必死で考えた。
重い想いで押しつぶされそうだった。
ポケットから薬の瓶とナイフがぼとりと落ちたが、
佐久間はもう、気にも留めなかった。
作品名:君を天国に連れてってあげるよ 作家名:あへんちゃん公爵