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【LD1】目が覚めたら【ベルジャン】

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「…ベルナルド、失礼するぞ。昨日の件だが…、いないのか?って、うお!?」

 ルキーノが部屋に入ると、部下たちは揃って人差し指を唇の前に立てて彼を制した。
 そのすぐ傍のソファでは柔らかなブランケットに包まれて眠る、カポとその膝の上に沈んだ筆頭幹部の姿があった。

「…なんか、ずりぃぞお前ら」

 何となく不服そうなルキーノはジャンのブランケットを捲ると、ベルナルドとは反対側にもぐりこむ。
 もぐりこむ、とは言っても巨体を狭い空間に無理やりねじ込んだものだから、ぎゅっとジャンを抱き込むかたちとなった。
 そのポジションに安定したのか、2、3度身じろぎした後、ルキーノも目を閉じる。

 ベルナルドご自慢の黒服の部下たちも呆気に取られる早業だった。







 コンコン、と控えめなノック音の後に開かれたドア。
 ベルナルドの部下が扉を開き通したのは、ジュリオだった。

 さっと一瞬でその目が誰もいないベルナルドの机を素通りしてソファに落ちる。
 そこでジャンを発見して蕩けるように表情が緩み、その周りにまとわりつく連中を一瞬本気で殺そうかとナイフに手をやった。
 でもこの姿勢ではジャンさんを起こさずに、返り血を浴びさせずに殺すのは難しい、と思い至った。のかどうかは定かでないが、ジュリオは殺気を納めるとそのままゆっくりとソファに近づいた。

 本気で殺されないかと不安だった部下がはっと顔を上げる。
 そして、そっともう1つ、ブランケットを差し出した。







「おいおいおい、何で誰とも連絡つかねーんだよ、シット!」

 この登場の仕方に黒服の部下たちが慌てて止めに入る。
 イヴァンが入って来たのは、ジャンが来てから4時間ほど経ってからだ。
 たったそれだけの時間で何が変わるというわけでもない情勢だが、やはり今のCR:5幹部たちは仲がよほどいいらしい。こうして集まってしまうほど。

「…で、なんで、コイツらは…」

 イヴァンが拳を震わせて見つめた先。
 ブランケットに埋まるように眠るジャンカルロ。
 その腹に顔をうずめながら膝枕で眠るベルナルド。
 金髪に顔をうずめるようにジャンを抱きこめて眠るルキーノ。
 床に直接座りジャンの足元にもたれかかるように目を閉じているジュリオ。当然コイツだけは気配に気付いて起きているはずだが、無視を決めこんでいるらしい。

「~~~っおー、まー、えーらーああああっ!!この、シットシット!シーーーーット!!」

 別の意味で部下たちが「しー」っと叫ぶ中、平和の夜は更けていった。