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【LD1】目が覚めたら【ベルジャン】

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「…ひざ、まくら?」

 駄目だ、突然すぎるのと幸せなので混乱して鼻血が出そうだ。

「あんた、いっつも疲れてるオーラ出てるから分かりにくいけどさ。ここんとこマジで寝てないんじゃねーの?」

 頭上から降ってくる言葉に目線を上げれば、悲しげな表情をした俺の恋人がいた。
 天井の明かりがその頭上から差し込んでいるせいで、その見事な金髪が光り輝いているように見える。俺にはもったいないほどの美しさだ。
 このウェヌスは愛と美の象徴なだけでなく、俺の心の奥底まで見通せるらしい。

「…ジャンには敵わないな」
「あったりまえだっつーの。顔色悪いし、髪つやねーし。…いつもの犯罪級にエロい視線じゃねーし」

 そんなにいつも、エロい視線を送っていただろうか。無意識というのは恐ろしい。
 確かに視姦はいつだってしたくて堪らないがさすがに部下の前では抑えていたはずだった。まぁ、見つめながら犯罪になるような妄想をしていなかったかと問われればNoとは言えないが。

「とにかくあんたは今疲れてんの。ちょっと休めよ。今はそんな忙しいこともないだろ?」

 そう、今は細かなゴタゴタは相変わらずあるが、大きな問題も発生していないし、大して忙しいわけでもない。むしろついこの間までのことを思えば暇なぐらいだった。
 でもそれが。

「暇が怖いんだよジャン。考えることが減る」
「わー、何その職業病。俺たちってばそんなになるまで筆頭幹部様をこき使ってたってワケ?」

 ジャンが笑うと太ももがゆるく振るえ、その上に乗った俺の頭も小刻みに揺れた。
 けして女のように柔らかくはないが、ゴツゴツとただ硬いわけでもないその感触に酔う。
 気持ちよさに目を閉じれば、優しい手の平が降りてきて頭を撫で始めた。

「…夜に、眠れなくなっちまうのかよ」

 指の間に少しずつ髪をすくって梳かれていく。
 慈しむように、優しい指先が俺を撫でてゆく。
 いつもの俺だったら勃っちまいそうな状態だが、今は性欲まで撫で梳かされたのか大人しくなっていた。

「ご名答。いくら明るくしても駄目なんだ。こういうときは、休もうとすればどこかから入り込む」
「そっか」

 慰めるわけでも、同情するわけでも、もちろん叱咤するわけでもなく、指先は優しく髪を撫でつけ続けている。ついに俺は脚をソファの肘掛けに上げ、完全に寝転がった。
 途端に眠気が襲ってくる。

「悪かった。ここんとこ暇になった爺様方や親父に引っ張りだこでさ」
「ジャンが謝ることじゃない。それにお前が人気なのは知ってるさ」
「でも俺がいないと寝れなかったんだろ?本当はさ、夜の時間はあんたが俺を独り占めしてもいいんじゃねーの?」

 な。
 ジャンの過激な発言に目を見開いた。
 完全に服従して地べたに平伏していた性欲までがむくりと顔を上げる。
 夜のジャンは俺が独り占めしていい?本人からそんな許可を貰ってしまったら、ああ、どうしよう。今夜からジャンは俺のものだなんて。

「言い過ぎた。寝てろって、駄目エロ親父」
「ぐっ…」

 上から頭を押さえつけられて目を閉じる。

「酷いな、本気で喜んだのに」
「だから駄目だっつーの。本気にしたらあんた、毎晩寝る間も惜しんでヤり倒すだろ」
「当然だな。俺はジャンがいれば健康だよ」
「ったく、あんたには、睡眠が足りてねーっつってんだろ!」

 ぐいぐいと太ももに押し付けられ、再び髪を梳かれる。先ほどより乱雑に、…それでも、優しい指先で。絡まないようにゆっくりと、少しずつ。

「ほら、ラッキードッグ抱き枕に続く第二弾、ラッキードッグ膝枕だぜ。もれなく幸運な夢が見られる特典付きだ」
「これはまた、大変だ。大急ぎでまた全部買い占めるぞ」
「あんたなら、販売元の会社の株、全部買ったっていいんじゃねーの」
「ああ、それはいいな。俺専用の会社にしてしまおう」

 体をひっくり返し、ジャンの腰に手を回して腹に顔を押し付けてその匂いを大きく吸う。
 いつもなら股間のすぐそこに頭を持ってくなんて、齧り付きたくなる配置だが今日はもう眠気の方が勝っていた。
 くすぐったそうにジャンの腹筋が揺れ、その手は相変わらず頭を撫で付けていた。

「おやすみ、ダーリン。いい夢を」
「ああ、目が覚めてもジャンがいたら…、俺はいつだって幸せだよ…」

 あれだけ寝付けなかった夜が嘘のように、白い空間に沈んでいくような感覚で深みへと落ちた。