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星への飛翔

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「俺はな、ダリル。長生きはできないんだろうと思う」
 ハワード・メイスン准尉は手にしたビールジョッキを傾けると、となりに座る友人に語りかけた。戦友の不吉な言葉を聞いてダリル・ダッジ曹長は眉間にしわを寄せて彼を見やったが、その色白の顔はほんのりと朱に染まっていて、もしかしたら任務明けの久しぶりの飲酒に酔いが回っているのかもしれなかった。
「額面どおりに受け取ってくれるなよ、そう覚悟したってだけさ」
 ハワードは相好を崩しながらその手をダリルの肩に乗せ、「そんな渋い顔するなよ」とでも言いたげに二三度軽くたたく。
「冗談でも言うものじゃないだろう」
 ダリルも努めて笑みを浮かべようとしたが結局それはあいまいな微苦笑になり、その表情のままハワードの手を取ってカウンターの上へ戻した。そのついでに彼もジョッキを口へ運んだが、ぬるくなったビールは舌に不快な苦味を落としてのどへと滑っていった。だがこの砂漠の国の乾燥にいまだ慣れない口には、鈍くはじける泡の音と度数の低いアルコールが沁み入るようだった。
作品名:星への飛翔 作家名:アレクセイ