星への飛翔
ハワードの答えにダリルは今度こそ心の底からの笑みを浮かべ、軽い口調で「違いない」と同意する。二人の落とす足あとの上を夜風がなでてゆき、それはできるそばから音もなく降り積もる砂におおわれていった。彼らのうちのどちらかが後ろをふり返ったなら、自分たちの形跡が何も残されていないことに驚いたかもしれない。しかしその向こうに広がる夜空で燦爛とまたたく星々に、彼らは一種敬虔なまでの憧憬を抱いたことだろう。そして彼らの心はふたたび空へ上っていくのだ。彼らの魂は飛ぶことを希求してやまないのだから。