二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

譲り受けた過去形、羨んだ他人事

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
目線から変化は始まった。同じ成長期なのに一際段違いで、そのまま伸びてしまったら見上げつつ会話する羽目になる処だったと思った位には。
声変わりを迎えて落ち着いた声は、甘いとさえ比喩出来る。同時に掌が骨張っていくのを、顔の造りが大人びていくのを間近くで見ていた。

あくまで見ているだけで、当然ながらコメントは一切していない。言葉にすれば、余計に意識してしまうのを予測しているから。
もどかしくて曖昧な意思未満の要素が、身動きの取れなくするのを後押しする。



生徒が散らばる廊下で、見慣れてしまった背格好を偶然発見する。ブルースクウェアとは当たり前に無関係そうな一般人、女子数人に囲まれている。
そっと踵を返して来た廊下を戻って曲がり角に入り姿を隠す。無意識に似た溜息を零す。
何してるんだろ。眉を寄せて自問自答しても、疑問は暫く晴れそうになかった。
疑わしきは、なんて頭文字にも迂闊に出せない。何を結論としたいのか解からないから。
知らない人みたいだったな。青葉くんという、近しい存在なのにね。

だから忘却を身代わりに、酷いことをそのままに置き去りにして。未だない歩み寄りもいつかは泳ぎ跳ね回るのだろうけれども、相手の仕草を美しく思ったら恋の予兆であると、生々しくも聞き及んではいる故に。