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葎@ついったー
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die vier Jahreszeite 003

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003




「なぁなぁ,二人ともクリスマスはどーするん?」
「るっせえ黙ってろ」

ぽよよん,とした暢気な声に剣呑な声が被さる。
俺は開いていた雑誌を膝の上で閉じ,こめかみに青筋が浮かびそうな勢いで目の前に積み上げられたブロックを注視しながら端の一本に手を伸ばすギルベルトを眺めた。

今日のゲームは「ジェンガ」。
ジェンガというのは1983年にイギリスで発売されたバランスゲームの一種で,54個のブロックを積み上げ,タワーを崩さないように一本ずつ抜いていくという遊び。
最初の方こそどこを取っても大丈夫だけれど,勝負が後半に差し掛かるとほんの一瞬の気の緩みが勝負を決するという考えようによっては危険なゲーム。
しかしなんだってそんなものを学校で,と俺は苦笑いを零した。

「今日はこれで遊ぼーや」

昼食をとり終えるなりアントーニョが鞄から取り出したのがこれだった。
決して小さくはない箱をアントーニョから受け取ってギルベルトが「これ,何だ?」と不思議そうな顔をする。
これはなー,と嬉々として説明しだすアントーニョの声を聴きながら,俺は欠伸を噛み殺しつつ雑誌のページを捲っていた。

俺はフランシス・ボヌフォア。
魅力的な笑顔と肢体を持つ,16歳。
趣味は料理と…後は愛を交わすこと。
他にはそうだな。まだどこか幼い部分のあるこの悪友たちをフォローして,時折遊ばせてもらうこと?

喉の奥でひっそりと笑みを零すと,俺は小刻みに震える指先をタワーの左手からゆっくりと慎重にとブロックへ寄せるギルベルトの耳に向け「ふっ」と息を吐きかけた。
途端,まるで猫の子が全身の毛をぶわっと逆立てるようにギルベルトが身を強張らせる。
変に力が入った弾みに指先がタワーをかすめ,危うい均衡を保っていた歯欠けだらけのタワーはあっけなく崩壊した。

「テッメー!フランシス!」

机の上に散らばるブロック。吐息のかかった右耳を手で押さえながら真っ赤な顔で怒るギルベルト。腹を抱えて弾けたように笑い出すアントーニョ。
俺は肩を竦めると「ギルってばほーんと耳,弱いよな。性感帯ってやつ?」と揶揄を飛ばす。

「っざけたこといってんなこの!」
「別にわざとじゃないって。一体ブロックひとつ抜き出すのにどれくらい時間かかってんだよ。あんまりにも待たせるからお兄さん飽きちゃってため息吐いただけだろう?」