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葎@ついったー
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die vier Jahreszeite 003

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「嘘つくな!テメェのため息はエロクサイんだよ!」
「エロクサイって…言葉は悪いけど褒め言葉だよね?」
「褒めてへん褒めてへん」

けらけら笑いながら頬杖をついたアントーニョがひらひらと手を振る。
ギルベルトは「もうほんとお前死ね!」なんて物騒なことを言いながら机の下に散らばったブロックを拾い集めている。

「にしても,なんでコレ」

云いながら俺はうすピンク色のブロックをひとつ摘み上げて顔の前に翳した。
箱の説明書きによるとこれは「ラブ・ジェンガ」という種類らしく,ピンクと白に塗り分けられたブロックのひとつひとつに王様ゲームの指令よろしく短い命令文が書かれている。
俺が摘み上げたそれには「正面の人にキスをする」と書かれていた。

正面。正面ねぇ…。
残念ながら俺の正面には人がいない。広がるのは寒空広がる窓ばかり。
左手にギルベルト,右手にアントーニョ。
でもほら,身体の向きを変えればどっちだって正面にはなりうる。そうだろう?

俺は「あー,くっそ」と文句を垂れながら拾い集めたブロックを机の上に放り出したギルベルトの手首を掴むと引き寄せる勢いで椅子から身体を浮かせた。
「なっ!」と見開かれる真紅の瞳を間近に見下ろしながら一瞬で距離を詰め,唇をその瞼に寄せる。

「な,ななななな,何すんだ止めろフランシス!」
「キスするときは目を閉じるのが礼儀だよ。ひとつ教えておいてあげよう」

云いながらぎゅっと瞑られた右目の瞼に唇が触れるギリギリから吐息を吹き付ける。
まるで凶暴な獣に一飲みにされる小動物みたいに身を竦ませるギルベルトが可笑しい。

「そんなんいらねえ!正気に戻れ,うわあああああ!近ええええええ!!!」
「……ええなぁ,仲良くて」

ぽそり,呟くように云ったアントーニョに伏せていた目を上げると,その一瞬の隙を突かれてギルベルトの痛烈な一撃が鳩尾に決まった。

「ッ!」

叩き込まれたのは,よりによって肘だった。
食べたばかりの昼食が食道を逆流しかけるのがわかる。
込み上げるすべてを飲み込んで必死に堪えようとすると目尻を涙が伝った。

「お前,肘は酷いだろ…」
「悪ふざけすっからだ。ざまーみろ!」

腹を押さえて悶絶する俺に,けせせせせ!とギルベルトが意地悪く笑う。
ほんの一瞬前まで可愛らしく身を竦ませていたというのに,この変わり身はなんなんだ。