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たかべちかのり
たかべちかのり
novelistID. 692
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叶えて

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人の気配がした。
誰もいるはずのない自分の家の中から、だ。
ノブに手をかければ、鍵は開いている。中は薄暗い。
弟が来ているかも、と思ったが、弟ならば電気を点けている筈で。
静雄は警戒しながら部屋に入り、電気を点ける。
ぱっと明るくなった室内には、意外すぎる人物がソファーに転がっていた。
「やぁ、シズちゃん」
「すぐ帰れいま帰れこの世から消えろ」
「会って一言目がそれぇ? やだーこわいー」
臨也はへらへらと笑うだけで、動く気配がしない。
静雄は無理やり動かそうと腕を掴んで、気がついた。
「…怪我、してンのか」
手にぬるり、とした感触。
ジャケットの左腕部分は血に染まっている。
よくよく見れば臨也の顔は酷く白い。出血のせいだろう。
「どうりで家の周りがキナ臭かったわけだ」
家に帰る途中、明らかにカタギでない連中がうろついていた。
この街では珍しいことでないから気にしなかった。
が、その原因が目の前にいるなら話は別だ。
「なんでここにいる」
「俺とシズちゃんが犬猿の仲ってのは周知の事実だからねー。意外性を狙ったんだよー」
まさかここにいるとは思わないでしょ?
あはははは、と臨也は相変わらず腹の立つ笑みを浮かべる。
「どうして入れた。鍵はかけてた」
「企業秘み…」
言いかけて、げほ、げほ、と臨也は咳き込む。
その呼吸は荒い。
外からばたばた歩き回る音がする。
「出ていけ。探してるぜ」
「ちょーっと、かくまってよ」
「ふざける――っ」
ぐいっ、と胸倉をひっぱられる。
次いで、生温い感触が口の中に入ってくた。
「っ…!?」
舌を入れられている、と認識するのに数秒かかる。
舌は口の中を動物のように動き回り、静雄の舌を絡めた。熱い。
その間、外からは「そっちにはいたか?!」「いや」「声がしなかったか?」「くそっ、どこだ」と言った会話が聞こえたが、その声も足音も遠ざかって消えた。
同時に、生温かい感触は口から離れた。
「……っ何しやがるっ!!!!!!」
キスされた。よりによって、この男に。
あまりに衝撃的な事実に頭がぐらぐらする。
「シズちゃん、騒いだら気づかれるでしょー」
「ふっざけんな!!!」
殴りつけると鈍い音がした。
もう一度殴ろうとして、手が止まる。
臨也は気絶していた。
ソファーは完全に血に染まっていた。もう使えそうにない。
作品名:叶えて 作家名:たかべちかのり