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【DRRR】第二印象、名前を聞かせて【静帝】

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》静帝

『第二印象、名前を聞かせて』

 夜、それは当然に襲ってくる。
 食事中、または食後の片付けをしている時や、面白い動画を見つけた時。布団に入り眠りにつくまでの時間。
 でも1番は帰って来た瞬間。
 「ただいま」
 は、どこにも受け止める先がなくて、ポトリと落ちる。

ホームシックなんて言葉がしっくりとくる。

 まだ帰りたくないな。
 そう思ったら、何となくぶらぶらと池袋の街を徘徊してしまう。

「あ、平和島さん」

 雑多な池袋の中でも有名で、妙に目立つ人たちは見つけ易かった。
 特にセルティさんはあのいななきですぐに分かる。都市伝説と呼ばれている割に遭遇率は高い。でもだいたいは通り過ぎて行くだけで。
 そして平和島静雄さんは、暴れているときなら空を見上げるとすぐにわかる。ありえないものが宙を舞っている様子は、あの人でないと不可能だからだ。
 …ただ、いくら非日常だったからと言って、その状態に自分から近づいて行こうとは思えなかったから、やっぱり通り過ぎていくだけだった。

 でも今日平和島さんを見つけたのは、ガラス張りのファーストフード店の中だった。
 やっぱりあのバーテン服にサングラスという格好も十分目立っている要因になっているみたいだ。

 ぼんやり見つめていたら、平和島さんの向かいの席の人と目が合う。どうなっているのか分からないドレッドヘアーがわずかに揺れた。
 急に目を逸らすのも失礼だし、だからと言ってこのままずっと見つめているのも失礼だし、僕はどうすればいいのか慌てて結局目が離せなかった。
 向かいの人の視線を追って、平和島さんも振り返る。
 どうしよう、個人的な知り合いじゃなくて、この前たまたま一緒にセルティさんの家で一緒に鍋をしただけなんだけど。
 そもそも存在感の薄い自分のことなんか覚えてるのかな。
 ついに目が合ってしまう。

 …やっぱり、あの日に思ったとおり、サングラスの奥は優しい目をしているようだった。
 もう随分と昔にも思える夜を思い出して笑みがこぼれる。そしてすぐに人の顔を見て笑うなんて失礼に気がついて、大きすぎる会釈をした。
 顔を上げたら、ドレッドヘアーの人がにこやかに手を振っていた。
 そして平和島さんは、…顔を背けながらも手の平を向けて挨拶をしてくれていた。
 覚えてくれているかはわからなくても、あの人の優しさと不器用さが伝わってくる気がして、心がほんわか暖かくなった。
「静雄ー?今の子、もう1回お辞儀して、行っちゃったぞー」
「…うス」
「しかしアレだなぁ、最近見ないぐらい真面目で素直そうな子だったなー。来良学園の制服だったが、お前の知り合い?」
「…この前、鍋食いに…」
「あー、アレがお前がキレなかった理由になったって小動物なワケか」
「はい」
「なるほど、ありゃ確かに効果ありそうだわ」