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飴の蜂屋・神頼み編【鉢雷鉢】

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 甘辛く煮たおあげに酢飯がたっぷり詰まっている。確かここのは、ショウガが入っていてうまかった。八左ヱ門も好物が食べたいところだが、同じ店に入るわけにもいかず。仕方なしに練り物の天ぷらを一串買った。衣はさっくりしており、まあまあの出来だ。
「んー? 遅いな」
 三郎はいっこうに出てこない。この屋台は珍しく暖簾をかけているから見づらくてたまらない、仕方なしにもうひとつ天ぷらを買う。やることのない八左ヱ門はぼうっと瓦版に目を通した。
 初鰹の話題だ。あのお騒がせ者がもうすぐやってくる。今年も今年で、庶民には到底手の届かない額に跳ね上がる予定だとか。初鰹を食べれば七百五十日長生 きするというが、こんな大金を払うくらいならその分、充実した短い人生を過ごした方が得だと思う。八左ヱ門は顔に似合わず堅実だった。
 ゆっくり味わった二個目を食べ終わっても、やはり三郎は出てこない。
「まさか……」
 いなり寿司の暖簾をのけると、そこには店主と旅に疲れた様子の旅人しかいなかった。
「おっさん、面長で長髪を一本に縛った奴を見なかったか!」
「ああ、さっきの兄ちゃんなら、俺の笠を買っていったよ」
 三郎はいい値で笠を買い取り、悠然と立ち去ったらしい。もしかしたら、八左ヱ門は、笠を被っただけうっかり騙されてしまったのだろうか。
 恥が、カア、と頭のてっぺんで湧き出て、くそう、と呟いた。

「ただいま」
「三郎、おかえり」
 薄暗くなりかけ、蜂屋は店じまいをしていた。客がいないものだから、裏口ではなく店の方から帰ってきた三郎を、雷蔵が怒るわけがない。
「あれ。あんた朝、今日は休みだって言ってたじゃないか」
 三郎が八左ヱ門の横でぴたりと脚を止める。
「手があいてたから店じまいくらい手伝うさ」
「ふうん危篤なこった」
 三郎はぷるんと下唇をはじく。尾行に気づいたいたろうに素知らぬ態度だ。イラつきをおさえ、八左ヱ門は黙々と樽を運んでいく。
「あ、なあ、お土産」
 三郎が忙しく働いている雷蔵の袖をつかんだ。店の端にいても二人の楽しげな会話が聞こえてくる。
「わあ! ありがとう! 綺麗な根付けだ」
「雷蔵は猿っぽいから猿にしたよ」
 猿って! と雷蔵がむくれる。ぷ、確かに、鼻とか似ている。的確なたとえに八左ヱ門はこっそり笑った。
「お前も同じ顔のくせに……なあ、高かったんじゃないかい?」