心配なんだモノ
八千代の中で、心配なのと彼がゆっくり休めないという話が天秤にかかった。もしもの事があったらどうしよう、でも怪我をしている人はゆっくりと休んでもらわないと…。
「明日は必ず仕事に行くし、何かあったら携帯に連絡入れる」
「……本当に?」
「本当」
「タバコも駄目よ、体に悪いから」
「わかった、わかった」
「あ、でも夕ご飯くらいは…」
「いいから、帰れ」
八千代をどうにかタクシーに乗せて家に帰したあと、佐藤がこの事実を決して相馬に知られないようにと祈ったのは言うまでもないだろう。その祈りむなしく、相馬の情報網に引っかかり、さらには小鳥遊の耳にまで入って彼が深い同情の涙を流すことになる。
私ダッテ誰ニデモ同ジコトヲシテイルワケジャナイ