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星を見に行こうよ

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「んじゃ、いただくとするか!」
「ありがたく食うぞー!」
「すまないな、東月」

三者三様口々にお礼を述べて食べ始めた。それに哉太と羊も加わって食べ物をめぐって箸の応戦がすごかった。

「颯斗君は食べなくてもいいの?」
「はい。僕はここに来る前に食べましたから」

それに、こうなるのだろうとは予測してましたからね、と微笑んだ。

ふと、星空を見上げる。
秋でもっとも有名なペガサス座や少し見つけにくい山羊座、魚座などがさんさんと輝いている。

「やっぱり、好きだなぁ……」

ぽつり、とつぶやいただけなのに。シーンとその場が静まった。

「えっ、みんなどうしたの?」

おどおどする私にみんなはお互いの顔を見て、何かを確認し合っているようだ。
本当にどうしたんだろう、と思っていたとき、意を決したのか代表として犬飼君が氏t問した。

「夜久、一体“何が”好きなんだ」
「え?えーっと、その」

質問の“何が”っていうのは私がさっき“好き”って言った主語だよね。

「それはやっぱり、星空を眺めることが好き」



もうすぐで真夜中になるから、ということでこの星見会はお開きになった。
寮に帰るとき、何気なく哉太にさっきの空白を聞いてみた。

「ねぇ、さっきみんなして固まったけど一体なんだったの?」
「へ?あ…さっきのか。そ、それはだな」
「つまり、むやみに君は“好き”って言う単語を使っちゃダメってことだよ」
「羊。どうして?」
「ふぅ。ちょっと哉太や錫也の苦労がわかったような気がするよ」
「だろう?このお姫様はなかなかこの立場に気づかねーんだよ。俺たちの気持ちってヤツをな」
「そうそう。“好き”っていう言葉はある意味毒だな。俺たちにとって」

3人の会話の内容がよくわからない。とりあえず、“好き”という言葉は極力避けなさい、と羊にダメ押しを食らってしまった。

謎が残ったけど、2年生だけで集まるのも楽しいなと思った星見会だった。


星を見に行こうよ


(楽しみにしてるよ、みんなの星座と神話を)
(だから、私たち天文科のことも詳しく知って欲しいな)
作品名:星を見に行こうよ 作家名:桜風つばき