星を見に行こうよ
「どんなのを考えていたんだ?」
「それは秘密、ですよ。東月君。学園祭までのね」
「そうかぁ。ちょっと残念だな」
「む……なんの話をしてるんだ」
「あ、クリーム師匠!」
「だから、土萌!その言い方は止めろと何度も言っているだろうが」
宮地君はどうやら哉太との打ち合わせが終わったみたい。おなかが空いたのだろう、錫也が作ったおにぎりに手を伸ばそうとしたけど、羊のニックネームにキレてしまった。
「お、宮地部長が怒ってる~」
「これが噂の“眉にしわがよってるか~?犬飼、白鳥」
「ぎゃはは、そうだぜ七海~。俺たちいつもこれを拝んでいるからな」
犬飼君が下品そう(というより、下品だ)に笑って哉太と白鳥君と一緒にやってきた。
ちらり、と宮地君を見るとぴくぴくとぶち切れそうだ。
約2年間一緒にいるから次に何が起こるのかわかっている。だから、
「錫也に羊、それに青空君。耳をふさいだほうがいいよ」
「ん?わかった」
「Qui!君の頼みならね」
「わかりました」
みんなが耳をふさいだと同時に、
「お前ら…犬飼、白鳥。次の部活でゴム弓千本だ!!」
きっとキーンと耳に響いたんだろう。犬飼君と白鳥君、そして哉太は慌てて耳をふさいだ。
「……宮地君。やりすぎ」
“いつもの”が収まった頃、私は宮地君に話しかける。
我に返った宮地君は一瞬ぼーっとしたが、すぐに顔が赤くなった。
「む……、すまない。というよりこの原因を作ったのは犬飼、白鳥、それに七海だろう!」
「おぉ?責任転嫁ですか、宮地部長?」
「ふふ、犬飼君。同じ神話科のよしみで言っておくけどこれ以上宮地君をからかわないでくれるかな?」
「あ、青空。まぁ、お前が言うなら仕方がない」
後が怖いもんなぁ~と犬飼君はポツリと言った。
「そうだ、哉太。……いい写真とれた?」
「羊、食いもん食ってから話せよ。まぁ、宮地が撮った写真よりもいいやつは撮れた」
「お前の写真の腕は認めるぞ、七海」
「あ、宮地君。素直だね」
「む……」
「はいはい、宮地。しかめつらをしない。部活終わって何も食べてないんだろう。月子に、犬飼と白鳥も。早くしないと羊のうえに哉太まで加わったから食べるものがなくなるぞ」
「錫也てめぇなぁ……」
哉太は呆れてものが言えないみたい。実際哉太もよく食べているもんね。