嘘と真実と願いと
あの戦いの日々が終わって、せつなはラビリンスへ帰った。高い硬質なビルが立ち並び、あのクローバータウンのような緑豊かな町や、それを見下ろせる小さな可愛らしい花々が敷き詰められた丘もない、無機質な街。
きっとこの国を幸せで包むためには、自分たちが生きている間だけでは終わらないだろう。いや、人の幸せとは限界がないものだ。終わりなど来るはずがなかった。途方もない、ゼロからのスタート地点に立ったせつなだったが、絶望的な気分には何故かなれなかった。
隼人と瞬とせつなは、それぞれに住居をかまえていたが、仕事の関係上行き来することが多かった。特に隼人はいつもせつなのところに出入りしており、せつなもそれをいつのまにか許すようになった。
もともとラビリンスには必要なものしかなかったから、クローバータウンから貰ってきたせつなの部屋の物はここでは異質に見える。隼人はもの珍しい顔で最初のころは部屋を物色しようとしてせつなにこっぴどく叱られたものだった。
「なぁ、せつな」
イースと呼ぶことをやめた隼人にそう呼ばれると、慣れたはずの声がなんだかむず痒い感じがした。せつなは振り向きながら、なに?と答えた。見ると隼人はせつながクローバータウンから持ってきたDVDを見ている。大人しくしていることを確認し、せつなは耳だけを隼人に傾け、夕食のコロッケ作りを再開した。今日は隼人もいる。多めに作らなくては。瞬も呼ぼうか。そんなことを考える。
「これはエイガというものなんだろう?こいつらはエンギをしているんだろう?エンギとは嘘のことではないのか?」
「…そうね、嘘っていうか…私もうまくは説明できないけど…」
「嘘だとわかっていてプリキュアたちの世界の人間はこれを見て泣いたり笑ったりする。変な話だな」
「うーん…本とかと、同じなのかしらね。瞬は本を読むでしょう。それを映像にしたものが映画とかなのよ」
ラビリンスに映画やドラマなどはない。せつなも始めてみたときは驚いたものだし、バラエティなんかはあまり好きではなかった。
「なるほどな、たしかに本を読むより、こうして見るほうが楽かもしれんな」
きっとこの国を幸せで包むためには、自分たちが生きている間だけでは終わらないだろう。いや、人の幸せとは限界がないものだ。終わりなど来るはずがなかった。途方もない、ゼロからのスタート地点に立ったせつなだったが、絶望的な気分には何故かなれなかった。
隼人と瞬とせつなは、それぞれに住居をかまえていたが、仕事の関係上行き来することが多かった。特に隼人はいつもせつなのところに出入りしており、せつなもそれをいつのまにか許すようになった。
もともとラビリンスには必要なものしかなかったから、クローバータウンから貰ってきたせつなの部屋の物はここでは異質に見える。隼人はもの珍しい顔で最初のころは部屋を物色しようとしてせつなにこっぴどく叱られたものだった。
「なぁ、せつな」
イースと呼ぶことをやめた隼人にそう呼ばれると、慣れたはずの声がなんだかむず痒い感じがした。せつなは振り向きながら、なに?と答えた。見ると隼人はせつながクローバータウンから持ってきたDVDを見ている。大人しくしていることを確認し、せつなは耳だけを隼人に傾け、夕食のコロッケ作りを再開した。今日は隼人もいる。多めに作らなくては。瞬も呼ぼうか。そんなことを考える。
「これはエイガというものなんだろう?こいつらはエンギをしているんだろう?エンギとは嘘のことではないのか?」
「…そうね、嘘っていうか…私もうまくは説明できないけど…」
「嘘だとわかっていてプリキュアたちの世界の人間はこれを見て泣いたり笑ったりする。変な話だな」
「うーん…本とかと、同じなのかしらね。瞬は本を読むでしょう。それを映像にしたものが映画とかなのよ」
ラビリンスに映画やドラマなどはない。せつなも始めてみたときは驚いたものだし、バラエティなんかはあまり好きではなかった。
「なるほどな、たしかに本を読むより、こうして見るほうが楽かもしれんな」