嘘と真実と願いと
「じゃ、じゃあ、もう二度と離れ離れにはならないのか?」
「…私たちはもう、ウエスターとイースじゃないわ。ウエスターとパッションでもないわ。西隼人と、東せつななのよ」
そこまで言って、せつなは何か自分がとんでもないことを言ったのではないかと思い、隼人の眼が見れなくなった。下を向いてぎゅっと唇をかみしめる。
再び隼人がせつなを抱きしめる。力強いが、でも優しい力だった。隼人はいつもせつなや瞬に優しい。いつも素直に自分の気持ちを表現して、笑ったり泣いたり怒ったりしていた。昔から彼は何も変わらなかった。
ラブや美希や祈里のことを、せつなは深く愛している。クローバータウンも愛している。でも隼人に対してはどこか違った。いや、たしかに彼に好意をもっている。しかしそれはラブたちに対するそれとはなんとなく違っていた。
せつなは隼人の広い背中に腕をまわし、また泣いているらしかった隼人の金色の髪を優しくなでた。
せつなは自分が帰る場所がずっと前からあったことに初めて気づいた。