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嘘と真実と願いと

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「嘘っていう言葉で表現するものじゃないのよ。これは物語というの。この人たちは確かに演技をしているけれど、それは決して嘘をついているんじゃないの。この物語は、これを見た人たちが切なくなったり、泣いたり、でも幸せっていうものがなんなのかを考えたり感じたりすることを願って作られたものなのよ」
「願い…」
せつなが頷くと隼人は急にせつなを抱きしめた。びっくりして、突き放そうとしたが、自分よりもずっと強い力で隼人はせつなを離そうとしない。
「ちょ、ちょっと…」
「俺は今の生活が本当に幸せだ。せつなや、瞬と頑張ってラビリンスを立て直すと決めて、すごく大変で前よりももっと忙しいが、でもすごく毎日が楽しい」
いっきにまくしたてられキョトンとするせつな。隼人は続ける。
「でも、俺はときどき自分が変じゃないかと不安になる。俺はバカだから、せつなのようにうまく言葉にできないが、ひとつだけ、お前に聞きたいことがあるんだ」
「な、なに?」
「怒らないか?」
「怒らないわ」
そこで隼人は一旦息をついて、せつなを離す。何故か二人は正座をしていた。せつなは隼人が自分をまっすぐ見てくると、何故かドキドキして、そのまっすぐな瞳から目が離せなくなった。やがて、隼人は決心したように口を開いた。
「お前はここにいて幸せか?」
「へ?」
「ラビリンスはクローバータウンみたいに、遊園地もないし海もないし、ドーナッツもない。それに、プリキュアたちも、いない」
「それは…」
「俺は、誰よりも、お前に幸せになってほしい。お前が笑ってると俺はとても嬉しい。クローバータウンにいたほうがお前は楽しいと思うんだ。でも俺はお前の幸せを一番に願っているのに、この映画の男のようにお前なしで生きていくことが出来そうに、ない。俺は、せつながクローバータウンに行ってしまうんじゃないかと思うと、胸のあたりがぎゅっと握られたみたいに苦しくなるんだ」
しょんぼりとうなだれる隼人。せつなは唖然としていた。そして何故か鼓動が速くなること、顔が紅潮しているような気がすること。何故だかわからない。そんなせつなを見て隼人も不思議な顔をした。
「せ、せつな?」
「…ば、バカね!あたしの家はここなのよ!!」
体を乗り出してまくしたてる。
「そ、それに、私がいつクローバータウンに行くって言ったのよ。そんなこと不安に思う必要なんてないわ!」
作品名:嘘と真実と願いと 作家名:こまつ