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そこに居る透明

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窓際には確かに委員長が在席する。意外性なく発言は必要最低限に収め、平凡極まりない容姿から存在感がない。よって観察対象から外れていた人物である。しかし注目してみれば、それは極端過ぎでもあった。
委員長、今日は休みだったかな?そう確かめる教師の声をよく耳にすると思った。
その疑問の後には必ずと言える程の応え。はい、居ますよとたった今現れたかのように忽然と委員長の輪郭が固まり、色彩が色付く。
これは普通じゃない。だがそんな違和感も、またもやクラスに溶け込んだ委員長と道連れに、朝露を思わせるひっそりさを伴い掻き消える。人の意識の隙間に棲んでいるかのように。しかし全ては此処から始まった。


こんな時は逆の性別に生まれたかったと、その場の都合で思う。それなりに利用価値があるので大事にしている顔面に、猛然と机が迫る。
これは無理、避けられないと先にショックを軽減させるべく諦めた次の瞬間には、予測を裏切られていた。
腕を引かれて擦れ擦れに通り過ぎる、ぶつかる筈だった机を見ていたのだから。

流石に女の子が目の前で顔を怪我したら忍びないし。そう静かな言葉を残して、委員長は安全圏に戻っていく。
今こそチャンスと咄嗟に腕を引き返し、自他共に認める艶やかに写るであろう笑みを嫣然と浮かべてみせ、隙間の住人へようやくまともなコンタクトを始める。

つーかまえたっ。
捕まった、とばかりに溜息が吐き出された。
作品名:そこに居る透明 作家名:じゃく