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そこに居る透明

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窓際の委員長は少々変わっている。具体的に言うならば一喜一憂が極端で、その基準がそもそも他人とはずれて異なる。理解出来るかと思いきや首を傾げたくなるケースに頻繁に出逢う。極々小さな、それでいて定期的に思い起こされる日常に出来事に潜んだもので構成されているのは少しだけ困る。
例えるなら今朝のこと。偶然を装って、おっはよーと爽やかに肩を叩く。振り返って見えた表情は優れない上に限りなく無表情に近い。
よし、晴れか。まあ雨でもいいのだけれども。なんたって顔を顰めている日が必ず曇りで、花を漂わせて麗らかにしてる日が絶対に雨が降るなんて。
曇りや雨が先か、委員長が先なのか、天気によってふと思う。

初めてのコンタクトから幾日が経った。気になったら執拗に追究するのが、友人にも前世は蛇だと比喩された自分だ。あれから目立ちたくないオーラを無言で発する希望を配慮しながらも、隣の定位置を獲得した。なにせ自分は目立って仕方ないのだから容易ではない。半分位は妥協して貰う。相も変わらずに素っ気無い態度がデフォルトであって絡みは一方通行ではあるが。
今熱心なのは、独自の個性色の濃度が高い友人らに極力目を向かせないことである。委員長が好奇心が強く、野次馬心を持ち合わせており、ふらふらと惹かれていってしまうのだ。静ちゃんなんかに取られたくはない。
安全圏の友人は面白いねえと感想を漏らしたきり、定位置である傍観者の態勢にちゃっかりと移行している。



いつもの問答を経て、雑用を任された委員長の座る席に向けて椅子を調整し、味気ない作業を眺める。几帳面さを発揮された模範的な蛇腹折りが、学校特有の質素な造りの時計針が進むに連れて積み上がっていく。
「委員長に立候補したのってさ、」
ああ、うんと生返事の後だが理由を話してくれる。
「下手すると出席も取られないから」
やっぱりね。男子の癖に肌質が良く、睫毛が長いことが改めて目に入った。
あんまし構ってくれないと呟き、手を机について伸び上がってみた。
観察していた睫毛が微かに震えるのを、間近に見えたのが面白い。思い描いていたのより、ふにっとした感触も何かを掻き立てられる。
「なに」
「奪っちゃうよ?」
「もう事後報告は禁止するからね」
「はいはい」
はい、は一回でしょと不満気に眉を寄せるも手は黙々と動き続ける。止まったのは奪っている最中だけであった。
「それに、」
おっと。珍しく会話を継続するようだ。良い傾向。
「大体君は女の子なのに、接触が多過ぎじゃない?」
「だって充電だもん」
それに帝人くん以外にこんなことしないから安心してね、とばかりににっこりしてみた。

思わず変なものを見てしまった、という字を書いた顔された。
麗しい外見の女子になんて反応をするんだか。
作品名:そこに居る透明 作家名:じゃく