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ルノ・ラダ ~白黒~

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誘い



「お前とこうしてゆっくり酒を飲めるようになるとはな。」

ビクトールが楽しそうに言った。
フリックも横でそうだな、と呟いた。

「ああ、そうだね。まさかまた会えるとはね・・・?2人とも無事でぴんぴんしてるなんて僕も思ってもみなかったし。」
「う・・・。ま、まあそれは何だ、終わった事じゃねえか、忘れようぜ?」
「ったく、お前が皆に連絡するっていうからまかせた俺がバカだった。」
「ふふ、まあ元気だったんだからいいよ。」
「そ、そうか。お前も元気でなによりだよ。そういやお前、あのラダに惚れられたんだってな?」

ビクトールがニヤニヤとしながら言った。

「え?ああ、うん、何かね。」
「んだよ、反応薄いな?お前、この城にゃああいつにぞっこんな奴、どれだけいると思ってんだあ?」
「そういうビクトールはどうなの?」
「ん?俺か?まあ確かにあいつの色気にはたまにヤベエって思う時もあるな。だが流石に歳離れてっからな。」

ビクトールは、ははは、と笑いながら言った。

「フリックは?」
「お、俺!?あーまあ、たまにあの目でじっと見られるとドキッてするな・・・。だ、だが俺はオデッサにもう心を捧げてるからな・・・。」

フリックは少し赤くなりつつもそう答えた。

「ふーん、お前達でもそう思うってことは相当なんだね?確かにたまに子犬みたいだなーって思う事はあるよね?」
「「子犬ぅ!?」」

声の揃った2人に、ルノは思わず仰け反った。

「な、何・・・?」
「いやー、前からそういった面に関しては鈍い奴だとは思ってたがな・・・。」
「あいつを捕まえて、たまに子犬みたい、だと?そんな可愛らしいもんじゃないだろ?どっちかといえば猫じゃないか?妖艶な猫、だな。」
「へ、へえ。そうなんだ。・・・ていうか、僕、鈍い・・・?」
「ああ。あの戦いの事に関しちゃあ誰よりも鋭かったがな。そういや方向音痴でもあったよな。ここで場所迷ったりしねえか?」
「・・・・・。」

ああ、もうすでに迷ったんだな、と2人は生温かい目でルノを見た。

「それによお、お前さんの事好いてた子の事とか、全然気付かないでいただろ?それともわざと気付かん振りでもしてたか?」
「え?僕の事・・・?」

知らない、とルノは首を振った。

かすみ・・・可哀想に・・・と今度は2人はここにいない仲間の事を憐憫の目で見た。

「まああれだ、ラダは本当にお前の事が好きみたいだからよ、ちったあ考えてやってくれや。」
「え・・・、うん、まあ、そうだね。別にラダの事、嫌いじゃないけどね。」
「そんな風に言えるのはお前くらいだろうな。陰でどれだけの奴らがショックをうけてたか。」
「そうなの?」
「ああ。だがラダがお前に酷い事を言ったりしたりしたら絶対許さないって宣言してたからな。どのみちお前程のやつに危害を加える事が出来る奴は誰もいないだろうが、文句すら言う事も出来ないみたいだな。」
「へえ・・・。知らなかったな。」

ラダがそんな事をしてくれてたとは。

その時何だか部屋の空気が変わったような気がした。

ラダ様だ、と幾人かが呟いたのが聞こえた。
カウンターの方を見ると、多分パーティメンバーの件で来たのだろう、ラダがレオナに話しかけているところだった。

「何かあの子が入ってきたから・・・?空気が変わったような気がしたんだけど?」
「まあ、そうじゃねえか?」

周りを見ると、もの欲しそうに見る者、憧れをこめ見る者、せつなそうに見る者など色々だが、誰もがラダを見つめているようであった。

近くにいた兵士がラダに話しかける。気付いたラダは見る者が見れば妖艶な笑みを浮かべ答えているようであった。

そのラダがふとこちらに気付いたようだ。
話しかけられた相手にまた何か言った後手を振って、こちらにやって来た。

「こんにちはルノさん。やあ、ビクトールにフリック。こんな真昼間からルノさん誘ってお酒ですか?」
「はは、まあいいじゃねえか。たまにはよ。」
「別にいいですけど、あなた方はたまに、じゃないですよね?たまには休肝日をつくってはどうです?ルノさん、お酒、飲めるんですね。良かったら今度私を誘って下さいね?」
「え、でも君未成年でしょ?」
「ふふ・・・そんな堅い事言いっこなしですよ・・・。いいじゃないですか。私もたまにはお酒を飲んでくつろいだり大胆になってみたい。」

ラダは妖しく笑った。
まわりではお酒をのんでほんのり赤くなり大胆になっているラダを想像したのか、やたらと窮屈そうにしている者が大勢いた。
まったくこいつらは、とビクトールは笑っていたが、フリックも少し赤くなっていた。

そんな周りの様子を見て、呆れるよりも感心しつつ、ルノはラダを見た。

「うーん、そうだね・・・まあ、ほんとにたまになら、いいよ。でも少しだけだよ?」
「ありがとうございます。じゃあいつか夜にでも、お部屋にお伺いしますね・・・?」

ラダはニッコリと笑って、じゃあ、と去って行った。

周りでは今や妬み、羨望、渇望などの想いが渦巻いているようであった。
羨ましい、変わって欲しいなどの声が聞こえた。

「やるねえルノ。お前、誘われてんのか?こりゃ恨まれても仕方ねえな。俺もちったあ羨ましい気持ちになるしな。」
「え・・・?誘・・・?ああ、お酒を一緒に飲もうって言われた事?ビクトール達も一緒に飲めばいいじゃない。」

ルノはきょとんとして言った。
周りの空気には気付いているが、皆そこまであの子とお酒飲みたいのか?と少し不思議だった。
皆が窮屈そうにしている体の理由はルノにも分かった。
だが、ラダがお酒を飲みたいと言う事でなぜ皆そんなにバカみたいに興奮しているのか少し理解に苦しんでいた。

ビクトールとフリックはそろってため息をついた。

「お前・・・。あのなあ、ラダはお前と飲みたいっつってんだぜ?しかも夜にお前の部屋に行くって。それでなんで分かんねえんだ?まったく。」

ルノは首を傾げた。

「だからー・・・部屋に行くって言った前に、あいつ大胆になってみたいって言ってただろうが。その上で夜にお前の部屋に行くってんだぜ?ぶっちゃけ言うと、お前と寝たいって言われたようなもんじゃねえか。」
「・・・・・。え、ええっ!?そっそんな意味があったの!?え?ちょ・・・ええっ!?」

かの英雄は心底驚き、赤くなったり青くなったりを繰り返していた。
作品名:ルノ・ラダ ~白黒~ 作家名:かなみ