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【イナズマ】水色トワイライト

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松野はそのまま黙って眉を寄せた半田をじっと見上げていたが、
やがて視線を外し、くつくつと喉を鳴らした。
笑ったのだ、と、細められた目を見て知る。

「まあ、うん、今まではそうだったけど」
「今までは、」
「うん。部活に時間縛られるのってやだなーと思ってたからさ。でもサッカー部にはちゃんと入部したよ。退部届け出してないし」
「そう、なのか?」
「やだなーじゃなきゃ毎日顔出したりしないって」

そう言ってころころと笑う松野を、半田は眉を寄せたままじっと見下ろす。
その視線に気づいて、松野はにい、と意地の悪い笑みを浮かべて、

「俺がやめちゃうかもーって思った?」
「いや……だって」
「うん、それは仕方ないよ。でもサッカーはもうちょっと真剣にやってみるつもり。だから、」

にこ、と愛想よく笑って、松野は右手を差し出す。

「これからも、よろしくね、半田」
「あ……ああ……」

思わず、その手を取ってから、松野に触れたのはこれが初めてだ、と気づいた。
小柄な体に比べて、しっかりとした大きな手。

「あ、上がったかな?」

見ると、水溜りの波紋が収まっていた。
細い雨糸は途切れ、常と変わらない夕暮れがすぐそこに広がっている。

「じゃ、帰ろっか」
「……へ?」
「へ、じゃなくてさ。方向一緒だろ?あれ?それともなんか用事あるの?」
「いや、何もない、けど……」
「じゃあ、決まり」

ぐいぐいと握手したままの手を引いて歩き出した松野に半ば引きずられるように外に出る。
扉を開けた瞬間、雨上がりの空気が頬を撫でて髪を揺らしていく。
繋いだままの手を振りほどく口実が見つけられないまま、半田は松野の後ろで、こっそりと息をついた。