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教えてあげる

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いざやは嫌な顔もせずに、「わかりました」と言っておれと幽に「一緒にお風呂入ったり同じ布団に寝たり出来るね。楽しみだなぁ」とも言っていた。

おれも幽も、今までそういった経験が無くとても楽しみだったし、両親もいざやが居るなら安心だと仕事へ出て行った。




いざやは料理も洗濯も出来るらしい。
宿題を教えて貰ったときも、凄く判りやすかったしいざやは何でも出来てすごいと思った。

「ほら、ちゃんと髪の毛拭かないとダメだよ」

「すぐ乾くから平気だって!」

「だぁめ、幽くんはちゃんと拭いてるよ?」

おいで、と言っていざやがタオルで髪の毛を拭いてくれる。
昔はよく母親にしてもらったけれど、小学校中学年・高学年となる内に髪の毛を拭いて貰う機会も減ったから
誰かに髪の毛を拭いて貰うのが久々でちょっと照れくさかったけれど、そういう何気ないことを家族以外にして貰えるということが嬉しかった。


自分が恐れられる存在である事は理解していたから、こうしていざやが優しく接してくれることがとても嬉しかった。
幽の兄である自分にとって、いざやは兄のようだった。
いざやみたいなお兄ちゃんが居たら良いのに、と思うほどには懐いていた。








夜中に、ふとトイレに行きたくなって目が覚めた。
幽はぐっすりと眠っていたが幽が寝ている方とは逆を見ると、寝る時は一緒に居た筈のいざやが居なかった。
起きてテレビでも見ているのかと思い、トイレに行った後リビングへ向かうと
暗闇の中、うっすらと光が見え小さい音ではあったが明らかに一人ではない声が聞こえてきたから
やっぱりテレビを見ているんだと思い、リビングへ入っていざやへと近づく。

「いざや?」

「…静雄くん?」

声をかけた瞬間いざやは、今まで見ていたものから他のチャンネルへ変えた。
何を見ていたのかまでは判らなかったけれど…。

「どうしたの?眠れない?」

「トイレ、行きたくなったから…いざやは寝ないのか?」

いざやへと声をかけるまでは眠かったけれど、会話をしている内に目が覚めてしまったのか
眠気が薄れていた。



「なに見てたんだ?」


何気なく聞いただけだったが、いざやは気まずそうに「静雄くんにはまだ早いかなぁ」と言った。
それが、子供扱いをされたような気になった。

いざやからしたらおれはまだまだ子供だろうけど、それを理由に何かを隠されたり秘密にされるのが嫌だった。
馬鹿にされてる訳では無かった。

独占欲…なのだろうか?いざやと同じものを共有したかったんだと思う。


だから、いざやが何を見ていたのかは判らなかったけどテレビのリモコンを手に取ってチャンネルを変えていった。
変えていったが、チャンネルを変えた理由を隠すような理由になりそうな番組がやっている訳では無かった。
どの局も時間が夜中だからかお笑い番組かニュース番組か、なんでいざやは気まずそうに言いづらそうだったのか判らない

そう思いながら再度チャンネルを変えた瞬間


「っ!?」

「ほらね」

そういって少し困ったように笑ったいざやがおれの手からリモコンを取り上げてテレビの電源を落とした。




最後に回したチャンネルでやっていたのは、ドラマだった。
ドラマだったけれど、お昼にやっているようなものでも無ければ夜にやっているドラマでも無くて


男の人と女の人が抱き合っていた。




「どの番組も面白くないなーって思ってチャンネル回してるときに丁度今のドラマがやっててね、久々にああいうの見たからそのまま見てたんだけど…静雄くんにはちょっと早かったかな?」


そういっていざやはおれの事を抱き上げて膝の上に乗せ顔をのぞき込んできたけれど、おれはあまりの衝撃に真っ赤になってされるがままになっていた。


(びっくり、した……だけど、)


「静雄くん?」

真っ赤になったまま何も言わなくなったおれに、可笑しいと思ったのかいざやが目線をあわせるため
おれの頬に両手を当てて顔を上へと向ける。
いざやと目が合った瞬間、いざやとおれの距離があまりにも近くて驚いた。
驚いたと同時に、まだ頭から消えない先程の映像…


(チューしてた、よな。あれ。でも、さっきのは)


男の人と女の人が抱き合って、キスをしていた。
けれど、静雄の知るキスとは違っていたのだ。違ったのだが、女の人はとても気持ちよさそうで

(うっとりしてた…?)





「なぁ、いざや。さっきの…あれって気持ちいいのか?」






next…?

作品名:教えてあげる 作家名:とき