ボカロの見る夢。
マスターのご両親にも、申し訳が立たない。
俺のことを信用して、マスターを任せてくれたのに!!
それなのに、俺は。
俺は、マスターの
うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
しょ、消去!!今すぐ消去しないと!!!
だが、データの消去には、マスターの許可がいる。
マスターは、きっと、消去する前に、チェックをあああああああああああああああああああああああ!!!
出来るかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
マスターに知られるくらいなら、廃棄されたほうがマシ!!!
「カイト!?」
マスターの声に、俺は振り返った。
パジャマ姿のマスターが、泣きそうな顔で立っている。
「ま、マスター?そんな格好で、風邪でもひいたら」
「カイトの姿が見えなかったから・・・びっくりして」
「あ、す、すみません。とにかく、中へ入りましょう」
この上、マスターに風邪をひかれたりしたら、大変だ。
だが、マスターは俺の袖をつかむと、
「ごめんなさい。私が変なことを言ったから、気を悪くしたの?」
「マスター?」
「ごめんなさい・・・私・・・私のこと、嫌いにならないで」
うっすらと、マスターの目に涙が浮かぶ。
・・・・・・・・・っ!!
俺は、また、この人を。
「マスター、大丈夫ですよ。俺は、あなたの傍にいます」
「ごめんなさい・・・」
マスターが震えている。
それは、寒さのせいばかりではない。
俺は、思わず、マスターを抱きしめていた。
何時ものように、加減するのではなく。思いっきり。
「カイト?」
「マスター、俺は・・・俺は、あなたのことが好きです。大好きです、マスター」
俺の、決死の告白は、
「ありがとう。私も、カイトのこと、好きよ」
あっさり流された。
ははは・・・ですよねー。
だって、この台詞、俺がマスターの元に来た当初、毎日のように、言っていたのだから。
あの時は、マスターに気に入られるのに必死で、深く考えてなかったからなあ・・・。
俺は、腕をほどくと、
「マスター、中に入りましょう?風邪をひいてしまいますよ」
「うん、ごめんね」
「俺のほうこそ、驚かせてすみません」
マスターを促して、家の中に戻る。
マスター、俺は、あなたが大好きです。
ずっと、あなたの傍にいますから。
だから、何も心配しないで。
ずっと、一緒にいましょうね。
終わり